概要
ドライアイとは、涙液層の安定性の低下に伴う目や視力の異常のことを指します。スマートフォンやパソコンなどを長時間使用する機会が多い現代では、ドライアイを発症する人が多いといわれています。
年齢別では高齢者に多く子どもに少ない傾向があり、性別では男性に比べ女性に多いとされています。職業別ではパソコンなどのディスプレイを使って仕事に従事するVDT作業を行う人に増えています。
ドライアイの治療には点眼薬を用います。また、目の酷使を避ける生活スタイルの確立も重要です。
また、ドライアイの症状は病気が原因となって現れる場合もあります。その場合は、ドライアイの治療とともに、原因となる病気の治療が必要になります。
原因
目の表面を潤す涙は、外側から順に油層・涙液層・ムチン層の3層構造からなっています。いずれか1つでも不足して涙のバランスが崩れると、涙液層の安定性が低下し、目の表面に定着しなくなります。ドライアイは、このバランスが崩れた結果として起こる状態です。
加齢や環境といった日常生活上の原因により生じるほか、病気による症状として現れる場合や、点眼薬などの薬剤に対するアレルギー反応により生じる場合もあります。
加齢と環境
ドライアイの主な原因は、加齢と環境の2つであると考えられています。現代社会ではパソコンやタブレット、スマートフォンなどの使用により目を酷使する機会も多く、こうした生活スタイルもドライアイを引き起こします。
さらに空調、たばこ、コンタクトレンズの長期装着などの近代的な生活スタイルもドライアイの原因となりえます。
原因となる病気
目の乾きや疲れやすさといったドライアイの症状は、病気が原因となり生じることもあります。
マイボーム腺機能不全
マイボーム腺機能不全は、まぶたの縁にある皮脂腺(マイボーム腺)のはたらきが低下する病気です。涙を保護する脂質が分泌されなくなり、涙が蒸発しやすく、涙液層が不安定になります。
甲状腺眼症
甲状腺眼症は、バセドウ病などの甲状腺疾患に伴って目の周囲に炎症が起こる病気です。眼球が突出することで、眼球に摩擦が生じたり乾燥したりします。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は、自己の免疫が自身の細胞を攻撃する“自己免疫疾患”の1つです。主に唾液腺や涙腺に影響を与え、涙を分泌する機能が障害されます。
神経麻痺性角膜症
神経麻痺性角膜症では、角膜ヘルペスなどに感染することで、三叉神経と呼ばれる神経のはたらきが障害されます。三叉神経の障害は、涙を分泌する機能に影響を与えます。
結膜弛緩症
結膜弛緩症とは、白目(結膜)がたるみ、下まぶたに沿ってシワのようになる状態を指します。眼球表面において、涙が正常に流れる機能や均等にいきわたる機能に影響を与えます。
症状
ドライアイの典型的な症状は、目の乾きや疲れやすさなどです。
また、涙の分泌量が減ることで光の乱反射が起こることから、視界がぼやける、ものが見えにくい、視力が落ちるといった症状もみられるようになります。
検査・診断
問診時には、目の乾きなどの自覚症状を伝えましょう。検査では、涙液の異常、涙液量の測定、角結膜上皮障害の確認が行われます。
そのほか、病気が原因と考えられる場合など、検査が追加で行われることもあります。
涙の量や質のテスト
涙液の分泌量を確認するために、シルマーテストと呼ばれる試験が実施されます。この試験では、まぶたのふちに試験紙を付着させ、紙がどの程度涙で濡れるか測定して涙の量を確認します。
このほか、涙がどのぐらいの時間で乾いてしまうかを測定して涙の質を調べる涙液層破壊時間の測定が行われます。
角結膜上皮障害
角結膜の上皮細胞が障害されているかを確認する検査では、フルオレセインなどの染色液を用いて角結膜の表面を細隙灯顕微鏡で観察する方法がとられることが多いです。この検査では、涙が目の表面に充分均等に行き渡っているかを調べることができます。
治療
ドライアイの治療には、点眼薬を中心とした対症療法と、原因に対しての根本療法とがあります。
点眼薬
不足している涙の層(油層・涙液層・ムチン層)に応じた治療が行われます。
基本的には保湿を目的として、ヒアルロン酸を含む保湿効果の高い点眼薬を用います。そのほか、ムチンの分泌を促し、涙そのものの量を増やす点眼薬や目の表面の粘膜の傷を修復する点眼薬が使われることがあります。症状が強い場合には、炎症を抑える点眼薬などが使われることもあります。
また近年では、自覚症状の軽減のための新しい点眼薬も登場しています。
涙点プラグ
点眼薬以外に涙を増やす方法として、涙点プラグがあります。目頭にある涙点という穴を、小さなシリコーン製のプラグ(栓)で塞ぐことにより、涙の排出を止めて少ない涙を目の表面にためます。
予防
ドライアイの増加は現代的な生活スタイルが背景にあると考えられています。長時間のパソコンやスマートフォンなどのディスプレイを見続ける場合は休憩を挟み、10〜15分目を休めるように心がけましよう。
また、ドライアイの症状の背景に病気が存在する可能性もあります。症状が改善しない場合や、強い症状がある場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
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