新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
疾患啓発(スポンサード)

目の乾きを感じたら——目の保湿・傷修復とヒアルロン酸の関係について

目の乾きを感じたら——目の保湿・傷修復とヒアルロン酸の関係について
猪俣 武範 先生

順天堂大学 医学部 眼科学教室 准教授

猪俣 武範 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

潜在患者も含めると国内で2,200万人にものぼると見込まれている、ドライアイの罹患人口。ドライアイの代表的な症状として思い浮かべるのが、目の乾きではないでしょうか。現代人は涙が減少傾向にあるという報告もあり、目の乾きという症状をはじめとしたドライアイは現代病ともいわれています。本記事では目の乾きの原因と、目の保湿や傷の修復に効果が期待されるヒアルロン酸について、順天堂大学医学部眼科学教室の猪俣(いのまた) 武範(たけのり)先生にお話を伺いました。

 “目の乾き=ドライアイ”と認識している方は多いのではないでしょうか。しかし、正確にはドライアイの症状のひとつが目の乾きであるといえます。では、目の乾きを感じたとき、目で何が起きているのでしょうか。

本来、まばたきによって涙が広がることで、薄い涙の膜が目の表面にできます。この涙のおよそ10%は蒸発し、残りは目頭の辺りにある涙点(るいてん)を通過して鼻へと流れていきます。

目

目の乾きを感じるときには、何らかの原因で涙の量自体が減っている、もしくは涙の質が悪くなり涙がすぐに乾いてしまっているということが考えられます。

そもそも、涙には以下のようなはたらきがあります。

目の乾きを抑える(保湿する)

目の表面にある組織に酸素や栄養を送る

異物や細菌の侵入を防ぐ

目が乾くということはこれらの機能が低下するということですから、目に傷が付きやすくなったり、感染を起こしやすくなったりします。

目の乾きをはじめとするドライアイは多因子疾患(環境的な要因、遺伝的な要因、生活習慣などが相互に影響する病気)といわれており、その原因として以下のものが挙げられます。

パソコンや携帯電話、テレビといったモニターの長時間使用

モニターを集中して見つめることで、まばたきの回数が減り、目の乾きにつながります。

コンタクトレンズの長時間使用

コンタクトレンズを使用している間は目の表面にある涙の膜が、レンズの表と裏の2層に分かれて涙の質が不安定になるため、目の乾きを招きます。コンタクトレンズを使用する際には、装用時間を守るなど正しく使用しましょう。

目②

習慣的な喫煙や飲酒

たばこの煙は涙の状態を悪くするといわれています。また本来は涙の中や角膜の表面には、抗酸化作用*のある物質などが存在して、目の表面を保護しています。しかし、ドライアイの患者さんはそのバランスが崩れて、酸化ストレス**がかかっている可能性があるといわれているのです。喫煙やアルコールの摂取は、酸化ストレスを引き起こす原因になるとされているため、結果的に目の乾きやドライアイにつながります。

*抗酸化作用:体内に取り込んだ酸素のうち、一部、通常の酸素の状態よりも活性化されたものを活性酸素といい、活性酸素が過剰になると細胞を傷つける。抗酸化作用は、活性酸素の産生を抑えたり、傷ついた細胞の修復を促したりする作用を指す。

**酸化ストレス:通常は活性酸素の産生と抗酸化作用の均衡が保たれているが、活性酸素が過剰になった状態を酸化ストレスという。

目③

ストレスや睡眠不足、夜型の生活

涙は、副交感神経が優位にはたらいたとき(リラックス状態)に分泌が促進されます。逆に交感神経が優位になっている状態(緊張状態)では、涙の分泌量が減少します。そのため、ストレスや睡眠不足がドライアイの原因のひとつとなるのです。また、夜型の生活においては、自律神経の乱れから交感神経が優位になるほか、夜になると涙の分泌量が減少するため目が乾きやすくなります。

エアコンの風、空気の乾燥

エアコンの風が直接当たったり、空気が乾燥しているところにいたりすることによって、涙の蒸発が促進され、目の乾きを感じます。

その他

膠原病(こうげんびょう)シェーグレン症候群に代表される自己免疫疾患はドライアイを合併する可能性が高いといわれています。目の乾きのほか、関節の痛みや口の乾きを感じる方は、一度内科の診察を受けてみることをおすすめします。

また、服用している薬の副作用や加齢によって目の乾きを感じることがあります。加えて、ホルモンの関係で女性の方がドライアイになりがちです。

目の乾きを感じた際には、まず日常生活における環境や習慣を見直す必要があります。前項に挙げたような目の乾きの原因を避けるのはもちろんのこと、まばたきの回数を意識的に増やすよう心掛ける、加湿器などを用いて湿度をコントロールする、目の周囲を温めるといった対策も効果が期待できます。

眼科でドライアイの治療を行う際には、涙点(涙の出口)を栓で塞いで、涙が流れ出てしまうことを止める涙点プラグという治療を行うこともあります。しかし、軽症の場合や涙の質に問題がある場合にベースとなるのは点眼薬を用いた治療です。

たとえば、目の表面に傷があったり涙の質が悪くなったりしている場合にはヒアルロン酸入りの点眼薬が、涙の量が足りていない場合には、涙の成分に近い人口涙液、水分や涙の成分のひとつであるムチンの分泌を促進、産生する点眼薬などが用いられます。

眼科で処方される点眼薬にも含まれるヒアルロン酸。では、ヒアルロン酸は目においてどのようなはたらきをするのでしょうか。

ヒアルロン酸は水分を保つ力が非常に強い物質です。1gのヒアルロン酸で2~6Lもの水を保持するといわれ、その特性から化粧水や入浴剤などにも用いられています。

また、ヒアルロン酸は皮膚や関節、目など、もともと人間の体に含まれます。目においては、硝子体(しょうしたい)というゼリー状の組織部分に多く含まれ、眼球の形を保ったり、クッションの役割を果たしたりしています。

目④

前項で解説した通りヒアルロン酸は保水能力が非常に高いため、涙の蒸発を遅らせることにつながり、目の保湿効果が期待できます。

加えて期待されるのは、目の表面にある傷を修復するという効果です。目の表面は、角膜という透明の膜で覆われています。この角膜はさらに目の表面から内側に向かって“上皮”、“実質”、“内皮”の3層に大別されます。この角膜上皮が傷ついた際の症状として挙げられるのは、目の痛みや、不快感、流涙(りゅうるい)です。さらに、角膜上皮は目のバリアの役割を持っているため、傷がつくと細菌などに感染しやすくなります。本来、角膜上皮は傷の修復速度が速いとされていますが、特に涙の量が少ない、質が悪い場合には、その修復が妨げられてしまいます。そのため、角膜上皮に傷がついている場合にはヒアルロン酸入りの点眼薬を用いて、傷の修復を助けます。

眼科に行く目安

OTC医薬品を使用しても改善がみられない場合や、目の乾きによる不快感などが強い場合には、一度眼科を受診することをおすすめします。眼科では、まず涙の量や質、目の表面の傷などの検査を行い、涙の量と質どちらが問題になっているのか、そのほかの原因がないかを明確にします。

そのうえで、涙の量もしくは質に問題があった場合、それぞれの問題に合わせて点眼薬が使い分けられます。この考え方がTFOT(ティーフォット)(眼表面の層別治療)です。OTC医薬品を使用する前であっても、先に眼科を受診してアドバイスをもらうことで、自身の目の乾きの原因に合わせて適切な対処がとれる可能性も高まります。

目の乾きによる弊害として、不快感だけでなく視力の低下も挙げられます。ただし、目の乾きによって視力が低下した場合には、目の乾きの改善とともに、ある程度まで視力も回復するといわれています。その一方で、ドライアイは2020年3月時点で根治療法はありません。

そのため、もっとも重要なことは、目の乾きなどの違和感を覚えた段階で生活習慣や生活環境の見直しを行って悪化を防ぎ、上手に付き合っていくことであるといえます。仕事などの関係ですぐに眼科を受診することが難しいという方は特に、生活習慣、生活環境の見直しから始めてみてはいかがでしょうか。

受診について相談する
  • 順天堂大学 医学部 眼科学教室 准教授

    猪俣 武範 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    「ドライアイ」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    本ページにおける情報は、医師本人の申告に基づいて掲載しております。内容については弊社においても可能な限り配慮しておりますが、最新の情報については公開情報等をご確認いただき、またご自身でお問い合わせいただきますようお願いします。

    なお、弊社はいかなる場合にも、掲載された情報の誤り、不正確等にもとづく損害に対して責任を負わないものとします。

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。