まぶたは、眼球のサポートを担う重要な組織です。そのまぶたがぴくぴくと動く痙攣は、多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。しかし、一口にまぶたの痙攣といっても、その原因は多岐にわたるといいます。では、一体どのようなことが原因となり得るのでしょうか。
また、痙攣をはじめとする目の疾患を予防するために、日常生活で私たちが気をつけるべきことはあるのでしょうか。
今回は、横須賀市立うわまち病院 眼科の西本 浩之先生に、まぶたの痙攣の原因や治療から、目の疾患の予防法、横須賀市立うわまち病院の眼科の特徴までお話しいただきました。
*眼瞼下垂の原因や診断・治療については記事1『まぶたが重い原因は眼瞼下垂? 最も多いまぶたの病気の原因や治療方法』をご覧ください。
まぶたに生じる症状のうち、年代に関わらず多くの方が経験する現象に、痙攣(けいれん)があるのではないでしょうか。まぶたが痙攣する眼瞼痙攣の場合、数分から長ければ15〜20分ほど痙攣が続くことがあります。
日常生活が困難になるほど重症化するケースは少ないですが、稀に痙攣によって目を開けることができなくなるような重篤な状態になる方もいます。
まぶた痙攣の原因は多岐にわたります。疲れやストレスが原因となることもありますが、光の刺激によって痙攣が生じることもあります。また、記事1『まぶたが重い原因は眼瞼下垂? 最も多いまぶたの病気の原因や治療方法』でお話しした眼瞼下垂と同様、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)など重篤な疾患が隠されていることもあるため、原因を正しく把握することが重要です。
まぶたの痙攣の治療は、原因を探りながら、患者さんにとって身体的・時間的・精神的に負担の少ないものから段階的に取り組んでいただくことが基本となります。
当院では、必要に応じて脳神経外科で脳の画像診断を行い脳に異常が認められなければ、まずは生活改善に取り組んでもらいます。
たとえば、映像など、刺激になるようなものを長時間にわたり見る習慣がある方には、外からの刺激を控えるよう指導することもあります。また、集中できる趣味に没頭しているときには痙攣が起こらないという方もいます。そのような場合には、集中できるものを積極的に生活のなかに取り入れるよう生活改善のアドバイスをすることもあります。
涙は目を守るのに欠かせない物質の一つです。その涙の量が不足したり、涙が均等に行きわたらなくなったりすることで生じる疾患をドライアイと呼びます。
検査の結果、ドライアイが痙攣の原因となっている方には、ドライアイの治療を提案することもあります。ドライアイの治療には主に目薬が使われるのですが、その治療薬により痙攣がおさまるケースもあります。
生活改善をしても痙攣がおさまらない方には、ボツリヌス注射を適応することがあります。これは、ボツリヌスという薬を目の周囲に注射することで痙攣を止める治療です。ボツリヌスの効果は、だいたい2〜3か月ほどといわれているため、患者さんは2〜3か月に一度ボツリヌス注射を受けることが治療となります。
また、精神科の薬を服用している方であれば、精神科の医師と連携をとり治療方針を決定します。脳の疾患を抱える方も同様に、脳神経外科と連携をとり治療に取り組むことが基本となります。
眼科領域の疾患における治療では、複数の種類の目薬を処方されることも少なくありません。複数の種類の目薬を処方された場合、続けて点薬するのではなく、それぞれ2・3分ほどの間隔をあける必要があります。
この場合、3種類の目薬をさすだけでも10分ほどの時間を要します。この時間的労力と手間が面倒になり点薬を中断してしまう方も少なくないのです。
近年は、製薬会社により、点薬忘れを防止するよう目薬に改良がなされているケースが増えてきています。たとえば、複数の目薬を簡単に見分けられるよう目薬の色や形に変化をつけるというような工夫です。
目にとって最も強い影響を与えるものが、太陽光線から発せられる紫外線です。そのため、紫外線からなるべく目を守ることが、疾患予防には有効であるでしょう。たとえば、屋外で作業をするときには、帽子やサングラスを装着することが重要になります。
また、記事1でお話しした眼瞼下垂や白内障は、老化現象として発症するケースが少なくありません。なるべく規則正しい生活を送り日常生活のクオリティーを向上させることが大事です。
また、高齢者に限らず、コンタクトレンズの使用法を誤ることで疾患を引き起こす方も増えています。たとえば、ワンデイの使い捨てコンタクトレンズを1日で使い切らず長期間にわたり使用してしまうことで、目の状態を悪化させてしまうような方もいます。コンタクトレンズを使用する場合には、正しい使用法を守ることが重要であるでしょう。
近年はスマホやパソコンが普及し、視力への影響を気にされる方もいるのではないでしょうか。今やスマホやパソコンは欠かすことができないツールのひとつになっています。
私は、高齢者の方には、新しい刺激となり人生を豊かにするというお話とともに積極的に勧めています。若い方に対しては、近視やドライアイが進行することもあるので、時間を決めてやりすぎないようにというお話をしています。
有効なツールはどんどん使っていただければと考えていますが、過度に使用しすぎないことが視力悪化などを防ぐためには重要になるでしょう。
私たち横須賀市立うわまち病院の眼科では、難治例にも向き合い、治療を検討しています。ここでは、白内障を例にお話しします。一般的に白内障手術は、簡単な手術だとイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、なかには難しい症例もあります。たとえば、レンズの役割を果たす水晶体が非常に硬い症例や、瞳が開かなくなる症例であると、手術は非常に難しくなります。
このような難治例は通常は大学病院へ送らなければいけない症例ではあるのですが、当院では、積極的に受け入れています。それは、当院の眼科では、月に一度、日本における白内障手術の第一人者として知られる医師(清水公也先生 山王病院アイセンターセンター長)が手術の執刀を担当しているためです。
このように、難治例であっても治療できる体制が整っているので、重篤な状態に陥り不安を抱える方であっても、一度受診していただければと考えています。
私たち横須賀市立うわまち病院の眼科は、「スピーディー・親切・丁寧」な診療を心がけています。特に、患者さんをお待たせしない眼科を目指しています。
また、当院は、総合病院のなかの眼科として、脳神経外科をはじめとする他の診療科と連携をはかることができるという利点があります。さらに、当院で診ることができない症例に関しては、周囲の病院や大学病院と連携をとりご紹介するようにしています。
目に不安を抱える方であればどなたでも、まずは当院の眼科にお越しいただければと思っています。患者さんの状態にあわせた適切な治療をご提案させていただきます。
横須賀市立うわまち病院 眼科 眼科部長、神奈川県眼科医会 会員
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