概要
筋断裂とは、スポーツによって急激に過伸展を生じることや鈍器による殴打などが原因となって、筋肉の線維が損傷・断裂を生じる外傷のことです。
筋肉は、筋線維と呼ばれる多数の長細い組織が集まった構造をしていますが、筋肉が過度に伸展したり、強い鈍的な衝撃が加わったりすると、筋線維に損傷や断裂が生じます。
これを筋断裂と呼びますが、損傷が軽度な不全断裂と、もっとも重度な完全断裂があります。
一般的に、肉離れと呼ばれるものは不全断裂を指すものであり、筋肉の微細な損傷や筋肉を包む膜(筋膜)のみの断裂として筋断裂とは区別されることもあります。
スポーツを行う若年者に多く発症し、ふくらはぎや太もも、腕などに生じやすいのが特徴です。非常に強い痛みや皮下出血を伴いますが、完全断裂の場合には筋肉にくぼみができて、外表から断裂がわかることも少なくありません。
原因
瞬発力を要するサッカーやテニス、短距離走などのスポーツや無理な体勢を取ることで、筋肉が過度に伸展し、その外力に耐え切れずに筋肉にダメージが加わることが主な原因です。しかし、同じような運動や動きをしてもすべての人が筋断裂を生じるのではなく、発症の要因として、運動前のストレッチ不足、筋肉のバランスの悪さ、柔軟性の低さなどが挙げられます。
また、交通事故や打撲などによって、筋肉に鈍的な強い力が加わると物理的に断裂を生じることもあります。
症状
筋断裂はふくらはぎにある腓腹筋、太ももにある大腿四頭筋やハムストリング、上腕二頭筋などに生じ、突然の非常に強い痛みと熱感が引き起こされます。
また、筋肉の線維が損傷を受けたり断裂したりすることで、その部位に皮下出血を生じます。断裂の程度が重度な完全断裂のケースでは、断裂した部位がくぼみとして外表から判別できるのが特徴です。
受傷した筋肉には力が入らず、脱力や筋力の低下が見られ、歩くことや腕を上げることが困難になるケースも少なくありません。また、筋肉だけでなく靭帯や神経にダメージが生じこともあり、断裂部以外の痛みや腫れ、しびれや麻痺などの種々の神経症状が併発します。
検査・診断
筋断裂は、受傷のきっかけや視診、触診などから容易に発症を判断することができます。このため、不全断裂の場合では特別な検査を必要とせずに治療を行うこともあります。
しかし、完全断裂の場合には手術が必要になることが多いため、症状が強い場合には、完全断裂と不全断裂を区別する必要があり、筋肉の損傷や断裂の程度を調べるための超音波やCT、MRIなどの画像検査が行われます。
治療
Ⅰ度やⅡ度の場合には、患部を冷やし、シーネやギプスで固定して筋肉の安静を図ります。通常であれば2週間~2か月ほどで治りますが、完全に筋肉が回復していない状態でスポーツなどを再開すると、筋断裂を繰り返すことがあるので注意が必要です。
一方、完全断裂の場合には断裂した筋肉同士をつなぎ合わせる手術が行われます。断裂部位をそのまま放置したり不完全な治療を行ったりすると、断裂した筋肉が正常につながらず、運動障害や筋断裂の再発を生じやすくなります。
また、すべてのケースで非常に強い痛みを生じるため、消炎鎮痛剤や湿布などによる鎮痛が図られます。
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