概要
線状皮膚萎縮とは、皮膚が引っ張られることで皮膚に線状のすじが入る状態のことを指します。妊婦さんに生じた場合、妊娠線と呼称されることもあります。
妊娠した際には、お腹や乳房が大きくなるにつれ、お腹やお尻、乳房周辺に線状皮膚萎縮が生じることがあります。
線状皮膚萎縮では、美容的な問題が生じる以外には大きな障害は生じません。妊娠初期の段階からクリームやローションなどを定期的に使用することで予防できることがあります。
原因
線状皮膚萎縮は、皮膚が引っ張られる状況を原因として生じます。たとえば、妊娠に際してお腹や乳房が大きくなるにつれ、お腹やお尻、乳房周辺に生じることがあります。
その他にも、成長期に急激に肉付きがよくなることや、急激な体重増加・肥満などでも生じることがあります。こうした状況では、皮膚の伸展に対応することができず、皮膚が裂けたような変化を生じます。
線状皮膚萎縮は、クッシング症候群などの病気によって生じることもあります。クッシング症候群では、体内のステロイドホルモンのバランスが崩れ、体重増加をきたしやすくなります。皮膚そのものも脆弱になるため、体重増加による変化と相まって線状皮膚萎縮が生じやすくなります。また、マルファン症候群でも生じることがあります。
その他、ステロイドを治療薬として長期間使用している状況でも線状皮膚萎縮が生じることがあります。
症状
線状皮膚萎縮では、影響を受けた皮膚が薄く変化し、ピンク色になります。かゆみを覚えることもあります。その後、皮膚はやや腫れたすじのように変化し、皮膚が裂けたように見えます。さらに時間経過とともに、皮膚の色はピンク色から白色へと変化していきます。
クッシング症候群で生じる線状皮膚萎縮は、妊娠線のようなものと比べると範囲が広く、より大きくなる傾向があります。また、妊娠線はお腹周りを中心に生じますが、クッシング症候群では顔面に生じることもあります。
美容的な問題以外には、特に障害を来しませんが、心理的にストレスを生じることがあります。
検査・診断
線状皮膚萎縮は、皮膚に生じた見た目の変化をもとにして診断されることが多いです。そのため、必ずしも特別な検査は必要ではありません。
しかし、クッシング症候群やマルファン症候群などの病気が原因となることもあります。そのため、これらの基礎疾患が疑われる場合には、血液検査を始めとした検査が検討されることがあります。
治療
線状皮膚萎縮は、整容的な問題が生じる以外には大きな障害はありません。また、線状皮膚萎縮が完成しきってしまった状態では治療が難しいため、早期の段階から予防的な対応策を講じることが重要です。
たとえば、妊娠初期の段階からクリームやローションなどを定期的に使用することは、線状皮膚萎縮の発生の予防につながります。また、ステロイド外用薬を長期間使用することでも線状皮膚萎縮が生じる危険性があるため、外用薬の使用方法には注意を払うことも大切です。
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