ひこうせいゆうもんきょうさくしょう

肥厚性幽門狭窄症

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概要

肥厚性幽門狭窄症とは、幽門(胃と十二指腸の境目)の筋肉が厚くなることで胃の内容物の通り道が狭くなる病気のことです。生後2週間〜2か月ごろに発症するといわれています。

肥厚性幽門狭窄症を発症すると、母乳やミルクが胃から十二指腸に進むことができず、噴水のような勢いのある嘔吐が生じるようになります。その結果、次第に体重が増えなくなり、脱水や電解質異常*を引き起こすとされています。

肥厚性幽門狭窄症と診断された場合には、頻回な嘔吐によって失われた水分や電解質を補うとともに、狭くなった幽門を広げる治療が必要です。幽門を広げる治療には薬物療法と手術の2つの方法があり、状況に応じて治療方法を選択します。

*電解質異常:体のはたらきを維持・調節する電解質(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)のバランスが崩れた状態のこと。異常が生じた電解質の種類によって、意識障害や脱力、血圧低下、吐き気などさまざまな症状がみられる。

原因

どのような原因で幽門の筋肉が厚くなるのか、現時点では明確に解明されていません。

一方で、この病気は遺伝的な要因の関与が指摘されており、きょうだいで発症しやすいことが知られています。そのほか、環境要因などの関与も推測されていますが詳細は分かっていません。

症状

肥厚性幽門狭窄症は、生後2週間〜2か月ごろの乳児にみられることが多く、哺乳後に噴水様と形容されるほど勢いのある大量の嘔吐物を噴出するなどの症状が現れます。

空腹感は感じるため、母乳やミルクを吐いても再び飲もうとすることが多いといわれています。また、発症初期は少し吐き戻す程度で、回数もさほど多くない場合もあり、早期に気付くのが難しいケースもあります。

数日~数週間が経過すると、頻回の嘔吐を繰り返すことで体重が増えにくくなり、水分や電解質が失われて重篤な状態になる場合もあります。

また、幽門の筋肉が厚くなると、みぞおちのあたりにオリーブほどの大きさの腫瘤(しゅりゅう)(しこり)が触って感じられることがあります。

検査・診断

肥厚性幽門狭窄症が疑われるときは、以下のような検査が必要となります。

画像検査

肥厚性幽門狭窄症の診断では多くの場合、幽門の筋肉が厚くなっているかどうか確認するために画像検査を行います。一般的には超音波(エコー)検査で筋肉が厚くなっているのを確認することができます。

また、幽門が狭くなって胃の内容物が十二指腸に流れにくくなっていることを確認するため、非イオン性造影剤を使用した消化管造影を行うこともあります。

血液検査、尿検査

肥厚性幽門狭窄症の確定診断とはなりませんが、この病気は脱水や電解質異常を引き起こすため、全身の状態を把握する目的で血液検査や尿検査を行うのが一般的です。

治療

肥厚性幽門狭窄症と診断された場合は、まず初めに点滴を行って失われた水分や電解質を補い、全身状態の安定化を図ります。その後、筋肉が厚くなることで狭くなった幽門を広げるための治療を行います。治療には薬物療法と手術の2つの方法があります。

薬物療法では、筋肉を緩める作用を持つ薬剤(抗コリン薬)を点滴や筋肉注射にて投与します。治療期間は少なくとも1週間程度必要です。また、薬物療法では状態が改善しない可能性が15~30%程度あります。最初に薬物療法を選択し、一定期間治療を行っても十分な効果がみられない場合は手術が必要です。

手術では、厚くなった幽門の筋肉の一部を切開して狭くなった部分を広げる方法(粘膜外幽門筋切開術)が用いられます。手術後は半日〜1日程度で哺乳が再開でき、術後数日で通常の経口量を摂取することが可能となります。どの治療を選択するかは主治医とよく相談して決めましょう。

参考文献

  1. Kawahara H, Takama Y, Yoshida H, Nakai H, Okuyama H, Kubota A, Yoshimura N, Ida S, Okada A: Medical treatment of infantile hypertrophic pyloric stenosis: should we always slice the "olive"? J Pediatr Surg 40:1848-1851, 2005
  2. Ono S, Takenouchi A, Terui K, Yoshida H, Terui E: Risk factors for unsuccessful atropine therapy in hypertrophic pyloric stenosis. J Pediatr Surg 61:1151-1154, 2019
  3. Fujiogi M, Tanaka Y, Kawashima H, Toma M, Suzuki K, Amano H, Morita K, Uchida H, Iwanaka T: An Easy and Safe Technique for Laparoscopic Pyloromyotomy: Using a Vascular Clamp for Stabilization of the Pylorus. J Laparoendosc Adv Surg Tech A 25:1036-1039, 2015

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