概要
肥厚性幽門狭窄症とは、胃と十二指腸の境目の通り道が狭くなることで発症する病気です。
1,000人に2人前後の発症率であるとされ、男の子でより多くみられます。生後2週間前後での発症が多いですが、遅い場合には3か月ほどたってから発症することもあります。
肥厚性幽門狭窄症では、母乳やミルクが胃の先に進むことができず、栄養障害をきたすため、治療により通過障害を改善することが必要です。
原因
肥厚性幽門狭窄症は、胃と十二指腸をつなぐ幽門の筋肉が分厚くなり、通り道が狭くなることで発症します。
幽門の筋肉が厚くなる原因は不明で、環境や遺伝子などが複雑に関与していると推定されています。ある種の抗生物質を飲んだ赤ちゃんに多いなど、さまざまな説がありますが、詳細は不明です。
症状
生後2週間ほど経過してから嘔吐により発症します。それまでは母乳やミルクの飲みに異常はありません。しかし、哺乳後に嘔吐を認め、噴水様と形容されるほど嘔吐物が噴出するようになります。嘔吐をすると胃の中が空になるため、お腹をすかせた赤ちゃんは、再度母乳やミルクを欲するようになります。
幽門の筋肉が厚くなるため、お腹に腫瘤が触れることもあります。嘔吐が続き、水分摂取がうまくいかない場合には、不機嫌、口腔内の乾燥、おしっこの回数が減るなどの脱水症状が出現し最終的には体重が減少していきます。また、合併症として、高ビリルビン血症、腸回転異常症などが報告されています。
検査・診断
肥厚性幽門狭窄症では、画像検査により幽門の狭窄や筋肉の厚みを評価します。主に超音波検査が行われますが、診断が明確につかない場合には、バリウムを使用した消化管造影や内視鏡検査などを併用することもあります。
体内のpHや各種ミネラルを測定するために、血液検査や尿検査などが行われることもあります。
治療
肥厚性幽門狭窄症では、アトロピンによる薬物治療と開腹による手術治療があります。
手術では、厚くなっている幽門の筋肉を切開して狭くなっている消化管を広げます(ラムステット法)。これにより、手術翌日から母乳やミルクの摂取が可能です。従来は開腹手術が行われていましたが、現在は腹腔鏡で手術が行われることもあります。腹腔鏡ではより小さな傷で手術を行うことができ、術後の傷口がほとんど目立ちません。
肥厚性幽門狭窄症が無治療の状態であると、脱水を生じます。点滴を用いた水分、電解質などの補正は重要です。
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