症状
脳ヘルニアが生じる部位で代表的なものは3つあり、それぞれ症状は異なります。
頭蓋内の構造
頭蓋内は小脳テントと呼ばれる硬膜(こうまく)で上下に分かれています。テントの上には左右の大脳、下には小脳や脳幹(のうかん)などの生命に深く関わる部位が存在しています。 脳幹は大脳からテント切痕(せっこん)という孔(あな)を通って小脳の前面を通り、大後頭孔(だいこうとうこう)という頭蓋骨の穴を通って脊髄(せきずい)へと移行しています。
テント切痕ヘルニア
小脳テント上にある病変によって脳圧が上昇し、テント上の脳実質がテント切痕を越えて下方に入り込んだ状態です。脳幹が圧迫され、意識障害や呼吸障害が生じます。また、麻痺や視野障害、対光反射の消失がみられます。
大孔ヘルニア
小脳にできた病変によってテント下の圧が上昇し、小脳の扁桃と呼ばれる部分が大後頭孔から下方へ偏位した状態です。テント上の病変によってテント切痕ヘルニアが生じ、二次的に大孔ヘルニアが引き起こされることもあります。
大孔ヘルニアでは、延髄がダメージを受けて呼吸障害や意識消失を起こすなど、致命的な病態となる可能性があります。また、髄液の流れが途絶えることで閉鎖性の水頭症を引き起こすこともあります。
帯状回ヘルニア
大脳半球を左右に分ける大脳鎌を越えて反対側の半球へ脳実質が入り込んだ状態です。麻痺やしびれなどの運動障害や感覚障害を生じますが、生命に大きく関わるような重篤な症状は基本的に起こりません。
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