概要
脳挫傷は、頭部を強く打った際に脳そのものが損傷を受けた状態です。脳が損傷を受ける部位は、直接外力が加わった部分に生じることもありますが、外力が加わった部位とは反対側に生じることもあります。脳が損傷されると浮腫(むくみ)や出血などを引き起こします。
強い外力により脳が大きく損傷された場合、脳に強い浮腫が生じ、嘔吐、けいれん、意識障害などを引き起し死に至るケースも少なくありません。また、脳挫傷は受傷直後には症状が軽症であるにもかかわらず、時間が経過すると脳内の浮腫や出血がどんどん大きくなり意識障害や麻痺などが進行することがあります。
適切な対処が遅れると命を失うこともあるため頭を打った後は慎重な経過観察が必要です。
原因
脳挫傷は頭を打つことによって引き起こされ脳損傷の1つです。
脳は硬い頭蓋骨に守られていますが、交通事故や転倒などによって頭に強い衝撃が加わると脳挫傷を引き起こすことがあります。
症状
脳挫傷の症状は、損傷を受けた部位や程度によって大きく異なります。
症状がほとんど現れないこともある一方で、脳の大きな損傷や脳挫傷に続く出血や浮腫が生じた場合は、嘔吐、運動麻痺、意識障害、けいれん発作などの重篤な症状がみられることも多く、脳ヘルニアをきたし呼吸や循環を司る脳幹にまでダメージが及ぶと命を落とすケースも少なくありません。
また、頭に強い衝撃を受けたと同時に重篤な意識障害などの症状が現れることもありますが、受傷直後は軽症であっても3~48時間程かけて脳の浮腫や出血が広がり症状が進行するのも脳挫傷の特徴です。
損傷された脳は元の状態に戻ることがないため、適切な治療により症状が軽快したとしても損傷された部分の機能は失われ、場合によっては運動麻痺や言語障害、高次脳機能障害などの障害が後遺症します。
検査・診断
脳挫傷が疑われるときは、頭部CTを行い脳挫傷の位置や大きさ、浮腫や出血の状態を診断します。
治療
脳挫傷の治療方法は重症度によって大きく異なります。
損傷を受けた範囲が小さく、脳内の浮腫や出血が軽度の場合は脳圧(頭蓋内部の圧力)を下げるための薬剤投与などを行う内科的治療が行われます。
一方で、脳損傷を受けた部分が大きく、浮腫や出血も大きいときは、脳圧を下げるために損傷した脳や出血を摘除する手術(内減圧術)や、頭蓋骨の一部を取り除く手術(外減圧術)が必要なことも少なくありません。
予防
脳挫傷は頭に衝撃が加わることによって引き起こされる脳損傷の1つです。発症を予防するためには交通事故や転倒などによる頭部打撲に十分注意しましょう。
また、脳挫傷は48時間ほどかけて徐々に悪化していくケースも少なくありません。頭を打った後に、一過性の意識障害(意識がなくなること)があったり、頭痛が続いたりするときはすぐに脳神経外科を受診しましょう。
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