治療
一般的に、腎性貧血はヘモグロビン値が10~11g/dL(正常値:男性13.0~16.6g、女性11.4~14.6g)程度に低下した場合は治療を開始することが推奨されています。
治療は基本的に、赤血球造血刺激因子製剤(ESA製剤)の皮下注射が行われます。エリスロポエチンは赤血球の元となる造血幹細胞に刺激を加えることによって赤血球への分化を促します。このESA製剤は、エリスロポエチンが造血幹細胞に刺激を与える部位に作用することで赤血球の産生を促す効果を持つ薬です。このため、この薬を投与することで不足したエリスロポエチンの作用が補われ、貧血を改善へ導くとされています。
近年、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬が開発されました。HIF-PH阻害薬は、内服薬であり内因性のエリスロポエチン分泌を刺激します。すでに維持透析患者には保険適用で使用されており、今後は保存期慢性腎臓病患者への保険適用も期待されています。
一方で、腎性貧血を発症している腎不全患者は体内の鉄分が不足しているケースも多いことが知られています。検査で鉄不足が確認された場合は、鉄剤の投与(内服あるいは注射)が行われるなど、それぞれの症状に合わせた治療を併用していくのが一般的です。
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