やくどくぶつちゅうどく

薬毒物中毒

俗称/その他
薬物中毒
監修:

治療

薬毒物中毒の治療においては、まず中毒症状を緩和することを優先に行います。意識が低下している場合や呼吸状態が悪化している場合には、酸素の投与や呼吸補助を行います。また、血圧の低下が見られる場合には、血圧を上げる薬の投与や点滴を行い、全身状態を安定させる救命処置を実施します。

これらの一般的な救命処置に加えて、薬毒物中毒に対しては以下のような中毒特有の治療が行われることがあります。

  • 胃や腸の中に入った薬が吸収されるのを防ぐ治療
  • すでに血液中に入ってしまった薬を早く体外に排泄させる治療
  • 薬毒物の作用を無効にする拮抗薬の投与

非常に危険な薬毒物を服用してからまだあまり時間が経っていない場合には、胃洗浄を行います。胃にチューブを挿入し内容物を排出させる胃洗浄は、意識障害がある場合には誤嚥のリスクになり得ます。また胃洗浄を行うことで急性薬毒物中毒の治療に役立つというエビデンスも乏しいため、近年では重症例に限って実施されています。またそのほかにも、胃の中にある薬毒物が吸収されないように薬毒物を吸着して便からの排出を促す活性炭の注入が行われることもあります。

特定の薬毒物に対しては血液透析が効果的な治療となることがあります。これは、すでに血液中に吸収された薬毒物を体外に効率的に除去することができ、排泄を促進するためです。ただし、この治療法の適応は、原因となる薬毒物の種類や重症度を慎重に評価したうえで判断されます。ほとんどの薬毒物には拮抗薬はありませんが、原因となる薬毒物の作用を打ち消す拮抗薬が開発されている場合は、中毒の治療に使用されることもあります。

一方、覚せい剤や大麻などの違法薬物をはじめとする慢性薬毒物中毒の場合は、薬物の摂取を中断したからといって症状がすぐに消失・改善するわけではありません。精神症状を改善するための薬物療法などが必要となり、徐々に症状が改善する場合もありますが、中には症状が悪化していくケースもあります。また中毒症状がみられなくなっても、薬物依存そのものが治るわけではありません。中毒症状が再発しないよう、薬物依存に対する継続的な治療が必要です。

最終更新日:
2025年03月04日
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2025/03/04
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