概要
踵骨とは、かかとを形成している骨のことです。転落などにより踵骨に骨折を来たすことを踵骨骨折といいます。
通常、踵骨骨折を来たすと、強い痛みによりかかとに体重をかけることができなくなります。
踵骨骨折を来たした場合、適切な治療を受けなければ歩行時の痛みや、歩行困難、長時間立っているときの痛みといった後遺症がのこってしまうことがあります。
このような後遺症を防ぐためにも、かかとに何らかの衝撃を受けた後、痛みや腫れが生じた場合には、患部を安静にした状態ですみやかに医療機関を受診することが大切です。
踵骨は、足関節に連なる足根骨のなかでも最も大きな骨です。踵骨のどの部分(前方、体部、後方など)を骨折したかにより、治療方針などが変わることがあります。
原因
踵骨骨折の主な原因は、高い位置からの転落時にかかとを打撲することです。交通事故や階段を数段踏み外したときなどに、かかとに大きな衝撃が加わり骨折をきたすこともあります。
これらは一度の外力による骨折ですが、スポーツによってかかとに繰り返し負荷がかかることで、踵骨が疲労骨折を起こすこともあります。踵骨疲労骨折は、アスリートの方などにみられることがあります。
また、踵骨とアキレス腱は連なっているため、アキレス腱が急に引っ張られることにより、踵骨に剥離骨折*が生じることがあります。
*剥離骨折とは:腱や靭帯などの付着部の骨が、急激な牽引などにより剥がれること。
症状
踵骨骨折の症状には以下のものがあります。
- 痛み
- 腫れ
- かかとを押したときに痛み(圧痛)
- 足首を動かしたときの痛み
- 皮下出血
など
骨折を起こした直後から強い痛みが生じ、かかとに体重をかけることができなくなることもあります。
自覚する症状は、踵骨の骨折部位や骨折の仕方などにより変わります。
検査・診断
かかとに衝撃を受け痛みや腫れなど踵骨骨折と思われる症状が現れた場合には、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。
衝撃を受けたときの状況や感じる症状を医師に伝えましょう。踵骨骨折は、問診により得られるこのような情報や、圧痛の有無などの確認、X線検査(レントゲン検査)で診断をつけることができます。
骨折部位のより詳しい状態を確認するために、CT検査が行われることもあります。
治療
患部を動かさないようにしましょう。痛む部位を冷やしつつ、すみやかに医療機関を受診しましょう。
医療機関では、患部の冷却や圧迫包帯による圧迫、患部の固定など「RICE処置」と呼ばれる応急処置が行われます。RICE処置は、安静(Rest)、冷却(Icing)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の頭文字をとった処置で、骨折やねんざ時の応急処置として行われます。
踵骨骨折の治療は保存療法と手術療法にわけられます。
保存療法
主に、骨のズレ(転位)がない・軽度な骨折に対して行われます。
骨折した骨同士が適切な位置にあることを確認したうえで、ギプスなどで固定し、骨と骨が自己の力でくっつくことを待ちます。体重をかける際に踵骨にかかる体重を分散する目的で土踏まずを高めに盛り上げた中敷きを作成することもあります。
手術療法
骨のズレがある場合や、剥離骨折の場合には、手術が行われることもあります。医療用のねじやピン、プレートなどを用いて、骨を直接固定する方法などがあります。
リハビリテーション
足関節を動かす可動域訓練や、足の筋肉のストレッチなどを行います。また、骨の修復度合いなどに合わせて、松葉杖などを用い少しずつ体重をかけていく部分荷重を行いながら、歩行の練習をします。
その後、状態に合わせて全体重をかけて歩行する全荷重に移行します。
担当の医師や理学療法士から説明をしっかりと受け、歩行を開始する時期や歩行時の注意点を守って歩き始めましょう。
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