原因
陰嚢水瘤は陰嚢内に水がたまる病気のことです。
胎児期に精巣を包む膜の形成に異常が生じることが原因で発症します。精巣はお腹の中で形成され、鼠径管と呼ばれる股の組織の隙間を通って陰嚢内へ下降していきます。この際、精巣はお腹の臓器を包む腹膜と呼ばれる膜と共に陰嚢内へ下降していくため、お腹の中と陰嚢は腹膜を通してつながった状態になっています。
このように腹膜が陰嚢内へしっぽのように飛び出す部分を“腹膜鞘状突起”と呼びますが、腹膜鞘状突起は精巣を包む膜のみを残して次第に小さくなっていき、生まれる頃には消失して腹膜と陰嚢とのつながりはなくなります。
しかし、この腹膜鞘状突起が消失しない状態で生まれると、お腹の中と陰嚢がつながった状態となるため陰嚢内に水がたまって腫れを引き起こすのが陰嚢水瘤です。腹膜鞘状突起が太く開いていると腸が飛び出す鼠径ヘルニア、細く開いて腸が通ることができないくらい細いと水瘤となります。
なお、腹膜鞘状突起が消失せずに残った状態になる原因は現在のところ解明されていません。また、陰嚢水瘤は成人が発症するケースもあり、多くは原因不明とされています。
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