治療
骨盤内の大量出血を伴う場合には止血処置を行います。骨盤周囲の圧迫や骨折部分を仮固定する器具などにより出血量を抑えた後、損傷した血管を塞ぎ、出血性ショックを起こしている場合には輸液・輸血を行います。
骨盤内の臓器にも損傷が及んでいる場合には、各診療科の医師と連携をとりながら処置を行います。特に骨盤輪骨折は臓器損傷や大量出血による出血性ショックを伴うケースが少なくないため、合併症に応じた処置が必要です。
骨折部位の治療方法には、保存療法と手術療法があり、骨折部位や骨のずれの状態などから選択されます。
保存療法
折れた骨のズレがほとんどないか許容範囲内の場合、また高齢者における骨粗鬆症による骨盤骨折の場合には保存療法が選択されます。安静に過ごした後、車椅子移動、松葉杖歩行といった順に、骨のつき具合、安定性を確認しながら、徐々に負荷をかけていきます。
手術療法
骨折部の骨のズレが大きい場合や不安定な場合には手術療法が選択されます。特に寛骨臼骨折の場合、折れた骨を元の位置に戻すのが不十分だと股関節に負担がかかり、後に変形性股関節症へと発展する可能性があるため、正しい位置へ戻すことが重要となります。手術治療では折れた骨を正しい位置に戻し、スクリュー(ネジ)やプレートなどの人工物を用いて固定します。なお、寛骨臼骨折で折れた骨を元の位置に戻すのが困難な場合には人工関節による置換も検討されます。
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