てぃーえぬえふじゅようたいかんれんしゅうきせいしょうこうぐん

TNF受容体関連周期性症候群

同義語
TRAPS
最終更新日:
2024年03月14日
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2024/03/14
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概要

TNF受容体関連周期性症候群とは、腫瘍壊死因子(しゅようえしいんし)(TNF)の受容体*をコードする遺伝子の変異によって、ほぼ一定の期間で発熱などの症状を繰り返す遺伝性の病気です。発症率は推定で出生100 万人に 1 人程度、患者数は100人未満といわれており、国の難病に指定されています。

症状は発熱のほか、筋肉痛や関節痛、発疹(ほっしん)などが1~2週間程度続き、回復した後も再び周期的に繰り返します。幼児期に発症することが多いものの、60歳以上に発症することもあり幅広い年齢にみられます。

原因は遺伝子変異ですが、なぜ発作を繰り返すのかなど詳しいことは解明されていません。現在のところ根治的な治療はなく、発熱などそれぞれの症状を抑える対症療法が中心となります。

*受容体:神経伝達物質やホルモンなどの情報伝達物質を受け取り、細胞に信号を伝える役割がある。

原因

TNF受容体関連周期性症候群は、TNFRSF1Aという遺伝子の異常が原因で発症します。健康な人ではこの遺伝子が作り出す分子(TNFR1)のはたらきによって免疫(炎症)反応を制御しています。しかし、TNFRSF1A遺伝子が変異すると正常な分子が作り出せなくなるため、正常な免疫の働きが崩れて炎症性サイトカインが過剰に作られ、発熱や関節痛などの症状が起きると考えられています。

TNF受容体関連周期性症候群は遺伝性の病気のため、両親のどちらかがこの病気である場合は1/2の確率で子どもに遺伝します。しかし、遺伝子変異があったとしても必ずTNF受容体関連周期性症候群を発症するとは限りません。

症状

TNF受容体関連周期性症候群の主な症状は、発熱や筋肉痛(移動性)、関節痛、頭痛、腹痛、発疹、紅斑(移動性)、結膜炎、目の周りのむくみなど多岐にわたります。これらの症状は1~2週間程度続き、平均5~6週間の間隔で繰り返します。現れる症状は患者や周期によっても変わることがありますが、高い頻度で38度を超える発熱が起こります。筋肉痛と紅斑が生じる部位は一致しており、いずれも末梢(まっしょう)に向かって移動するのが特徴です。

また、TNF受容体関連周期性症候群では長期間炎症が続くことで、アミロイドという異常なタンパク質がさまざまな臓器に沈着する“アミロイドーシス”を合併しやすいと報告されています。アミロイドーシスは特に腎臓に生じやすく、体のむくみやだるさ、体重増加、尿の泡立ち(たんぱく尿)などの症状が現れるネフローゼ症候群を引き起こすことが多いといわれています。

検査・診断

TNF受容体関連周期性症候群が疑われる場合、以下の必須条件を満たし、さらに補助項目が2つ以上該当する方を対象に遺伝子検査を行います。

必須条件

6か月以上にわたり、以下のいずれかの炎症症状を繰り返す。

  • 発熱
  • 腹痛
  • 筋肉痛(移動性)
  • 皮疹
  • 結膜炎
  • 胸痛
  • 関節痛、あるいは単関節滑膜炎

補助項目

  • 家族歴があるか
  • 20歳未満の発症
  • 症状が平均5日以上続く

遺伝子検査でTNFRSF1A遺伝子の疾患関連変異が認められた場合、TNF受容体関連周期性症候群と診断されます。遺伝子検査は血液を採取して行います。

治療

現在のところ、TNF受容体関連周期性症候群の根治療法はなく、症状を抑える対症療法が中心となります。

対症療法として発作を抑えるためにステロイド薬を投与しますが、発作が重症なケースでは抗IL-1製剤(カナキヌマブ)が用いられます。そのほか、TNF阻害薬(エタネルセプト)やIL-1受容体拮抗薬(アナキンラ)、IL-6受容体拮抗薬(トシリズマブ)などの生物学的製剤が有効だったとする報告もあります。

TNF受容体関連周期性症候群の患者さんとご家族の方へ

TNF受容体関連周期性症候群でよりよい治療を行うためには、普段のご自身の症状や状態、治療の希望を医師にしっかりと伝えることがとても大切です。

「治療ノート」では、毎日の体温や痛み、皮疹などの症状、気になることや困りごとをスマートフォンやパソコンで簡単に記録することができます。

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