ばるとりんしゅよう

バルトリン膿瘍

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概要

バルトリン膿瘍は、バルトリン腺嚢胞の内部に貯留した内容液に細菌感染を合併したものです。女性の左右外陰部(陰唇)の皮膚の内側にはバルトリン腺という分泌腺が存在していますが、この腺の出口部分(開口部)が何らかの理由により閉塞することで、腺から分泌された液体が貯留し袋状に腫れてしまいます。これをバルトリン腺嚢胞と呼びます。

バルトリン腺嚢胞自体は、小さなものであれば自覚症状もなく自身で気づかないことが多いですが、徐々に増大してくると自身でも腫れることに気づきます。この段階では通常痛みはありませんが、このバルトリン腺嚢胞内部に細菌感染が生じると、内部に瘍が形成され、炎症とともに非常に強い痛みが生じてきます。

外陰部が腫れるような類似疾患には、ほかに外陰部良性腫瘍(繊維種、脂肪腫など)、腟壁嚢腫、外陰悪性腫瘍(多くはバルトリン腺癌)などがあります。

原因

バルトリン腺の開口部が閉塞してしまう原因としては、非特異的炎症、分娩時の物理的損傷、外傷(怪我など)、性交による内出血などが挙げられますが、特定できず不明なままのことがほとんどです。

一度バルトリン腺嚢胞が形成されてしまうと、治療後に再度発症する確率が一般の方よりも高くなる傾向にあります。つまり、バルトリン腺嚢胞・瘍は、何度も再発してしまうことが多いという特徴があるのです。

バルトリン腺嚢胞に大腸菌、ブドウ球菌、淋菌などの細菌が二次感染すると膿瘍化する場合がありますが、これらの細菌がなぜ感染するかも原因が特定できないことが多いです。以前は原因菌として淋菌が多かったですが、近年ではブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌および嫌気性菌が主体とされ、各種細菌の複合感染が少なくないと言われています。

また、日本でもっとも多い性感染症であるクラミジア感染が原因で発症したという報告もあります。

症状

軽症な場合にはほぼ無症状なこともあります。しかしながら、感染と炎症が強まってくると、バルトリン腺周囲、つまり外陰部(陰唇)の周囲が赤く腫れ、多くの場合は強い痛みをともないます。

治療せずに進行すると、歩行が困難な程の痛みとなり、腫れによる圧迫によって排尿・排便障害をきたすこともあります。また、性交渉の際に痛みを感じ、気付くケースもあるようです。一般的にバルトリン腺瘍は左右どちらかに発生し、両側に同時にみられることはまれです。

検査・診断

診断をするために必要な特別な検査はなく、内診台による診察(視診、触診)のみで診断されることがほとんどです。治療の際に採取できるバルトリン腺瘍の内容液を、細菌培養検査に摘出し、原因菌の推定や有効な抗生物質の判定を行う場合があります。これは、特に再発を繰り返すケースで重要な検査となります。  

治療

バルトリン腺嚢胞のみで、大きさが小さく、無症状であれば経過観察となることもありますが、痛みなどの症状がある場合には治療が必要になります。炎症が比較的軽い場合には、推定される原因菌に有効な抗生物質を投与します。

軽症であれば内服薬で治療可能なことが多いですが、重症例では静注薬が必要となります。薬剤のみでの治療を行う場合には、抗生物質の投与のほかに、消炎鎮痛剤の処方や外陰部の清潔保持を同時に行いながら外来での治療を続けます。

炎症や痛みが強い場合や、バルトリン腺瘍に進展してしまった場合には、抗生物質に加えて外科的治療が必要となることが多いです。非常に痛みが強い場合、診察時にすぐ実施できる処置として穿刺や切開術、開窓術(膿瘍部分に細い針を刺したりメスで切開したとして穿刺や切開術、開窓術(膿瘍部分に細い針を刺したりメスで切開したりすること、また開窓術では小さな穴を開けたままにしておくこと)を行い、貯留した膿瘍を取り出すことが可能です。

この処置により、腫れと痛みはすぐに軽快しますが、内部の膿瘍を取り除いただけですので、バルトリン腺嚢胞は体内に残ったままです。このため、また細菌感染をおこしてバルトリン腺膿瘍が再発する可能性があります。なお、最近ではCO2レーザーを用いた開窓術を行う医療機関もあり、良好な治療成績が報告されています。

何度も再発を繰り返す場合には、根治的な治療法であるバルトリン腺嚢胞摘出術を実施することがあります。この手術は局所麻酔で行うことはできませんので、一般的には入院し手術室で行うことになります。この手術では、バルトリン腺嚢胞を摘出できるので再発を予防する効果が高いですが、出血や血腫などの合併症には注意が必要です。

なお、急性炎症(非常に炎症が強いこと)のタイミングでは組織がもろくなっており、手術をしてもバルトリン腺嚢胞が完全に取りきれない可能性があるため、抗生物質での治療を先に行い、炎症を落ち着かせてから手術を予定する場合があります。

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