ていたいおんしょう

低体温症

最終更新日:
2022年11月28日
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2022/11/28
更新しました
2019/03/08
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概要

低体温症とは、体の深部体温が35℃以下に低下した状態を指します。

人の体温には“皮膚体温”と“深部体温”の2種類があり、(わき)など体の表面から測定する温度が皮膚体温、脳や内臓など体の内側の温度が深部体温です。

正常時の深部体温は、もっとも温度が高い肝臓で38.5℃、直腸では38℃です。基本的に直腸用の体温計を用いて深部体温を測定し、直腸の温度が35℃以下になった場合に低体温症と診断されます。深部体温は脳や心臓といった生命維持に関わる臓器の温度を反映しているため、深部体温が低くなると命に関わることがあります。

一般的に32~35℃を軽症、28~32℃を中等症、20~28℃を重症に分類され、中等症以上の死亡率は約40%といわれています。

原因

低体温症は、体から失われる熱が、体が産生する熱を上回ることで起こります。体から熱が失われるのは外的な要因が多く、季節でいえば冬、状況としては登山や水難などで起こりやすくなります。

冷たい地面に横たわる・座る、水に濡れる、風に当たる、何らかの理由で体が動かせないような条件が加わると、熱喪失量の増加ならびに熱産生量の低下によって低体温症になる可能性が高まります。

敗血症などの体の広い範囲に及ぶ感染症、中枢神経系の異常、甲状腺機能異常、糖尿病、抗うつ薬などの特定の薬、アルコールなどが原因となって低体温症が起こりやすくなったり、悪化したりすることもあります。アルコールを飲んで夜間など気温が低いときに屋外で眠り込んでしまうととても危険です。

このようにさまざまなリスク因子が重なると、13~16℃程度の比較的暖かい環境下でも低体温症になる場合があるため、低体温症は極寒の環境に限ったものではありません。

特に注意を要するのが乳幼児と高齢者です。乳幼児と高齢者は一般的な成人と比べて寒さへの適応力が低く、体を暖かくする対策を他者に頼りがちなためです。

屋外だけでなく屋内でも低体温症になることがあり、災害時にはライフラインが途絶えて寒冷環境に陥りやすい、十分な食事が取れない、身動きがとりにくいなどの状況から低体温症になりやすいため、被災時には低体温症についても留意しておくことが大切です。

症状

深部体温が低下すると、初期症状として体が激しく震えるシバリングが生じます。これは筋肉を小刻みに動かし筋肉から熱を発生させて体温を維持しようとする生理現象です。

体温がさらに低下すると震えが収まり、動作が遅くてぎこちない、反応に時間がかかる、思考がぼんやりする、判断力が低くなるなどの症状が現れます。やがて昏睡状態に陥って、心臓の心拍や呼吸が遅く弱くなり、最終的には心臓が止まります。

深部体温は脳や心臓などの生命維持に関わる臓器の温度を反映しているため、深部体温が低くなるほど死亡リスクが高くなります。32℃以下になると死に至る恐れがあり、死亡例の大半が28℃以下となっています。

検査・診断

直腸や食道の深部体温が35℃以下になった場合に低体温症と診断されます。体温の測定は通常、体温計を接続したプローブという細い器具を肛門(こうもん)から挿入して直腸の深部体温を測ります。膀胱から深部体温を測ることもあります。また、口から挿入して食道の深部体温を測ることもあります。

また、低体温症の原因として感染症や甲状腺機能低下症などの病気があるかを調べるために血液検査が行われます。心臓超音波検査で患者さんの心臓が動いているかを確かめることもあります。

治療

低体温症では、体を温めることが治療の中心となります。深部体温が35℃になることを目標に、熱喪失を防ぐ処置に加えて積極的に体を温めます。

医療機関では温風器による加温、加温加湿酸素(40~45℃)の吸入、加温した輸液(40~42℃)の点滴が行われることもあります。

重症例では心肺停止の危険が切迫していることから、急速な復温が必要です。そのため、腹膜灌流(ふくまくかんりゅう)や閉鎖式胸腔灌流などのチューブを用いた侵襲的(しんしゅうてき)な復温治療が行われます。ECMOなどの人工心肺装置が用いられる場合もあります。

応急処置

体が激しく震えてきたらまず暖かい場所に移動し、衣類が濡れている場合には乾いた衣類に着替えるか毛布やブランケットなどで体を覆いましょう。

衣類がたくさんある場合には重ね着をし、なるべく体温を下げないようにすることが大切です。頭や首からも熱が多く放散されるため、帽子やマフラーを着用することも重要です。

そのうえで温かい食べ物や飲み物を摂取して、積極的に体を温めましょう。ただし、アルコールは血管を広げて体の熱を多く放散させるため、アルコールは控えましょう。

呼びかけに反応しない、呼吸が弱い、脈が弱いなどの場合は重度の低体温症の可能性があります。救急車を呼ぶことも検討しましょう。

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