DOCTOR’S
STORIES
患者さんだけでなくスタッフにも常に誠実に向き合う住友 正和先生のストーリー
父を幼い頃に亡くし、6歳年上の兄の影響を強く受けて育った私は、高校に進学して間もない頃、兄に医学部受験をすすめられたことをきっかけに、医師の道に進む決心をしました。
横浜市立大学医学部に進学し、さまざまな分野を学ぶ中で、麻酔科学という学問にとても興味を持つようになりました。私が医学部を卒業した直後は今のように医療機器が発達しておらず、心電計も全症例には配置されず、手動の血圧計、触診、聴診のみで全身状態を管理しながら、麻酔を行っていた時代です。そんな発展途上の分野であったため、興味はあるけれど麻酔科に進むのは危ないという意識もあり、皮膚科に進んで将来的に開業することも選択肢の1つに考えていました。
横浜市立大学医学部を卒業後、進むべき診療科を決めきれないまま虎の門病院で研修医として勤務し始めた私は、麻酔科の
井上先生はどんどん新しいことに挑戦させてくださる方でした。私が吸入麻酔薬を用いないNLA(ニューロレプト)麻酔をやりたいと伝えると、私の準備が整っていると判断してくださったのでしょう。「やってみなさい」と挑戦させてくださいました。私がやりたいと思ったことを、井上先生がある程度自由にやらせてくださったことで、麻酔の面白さを実感し、麻酔科医になることを決意したのです。
私が虎の門病院で研修医をしていたときのことです。初めて受診された頃から最期まで治療に関わらせていただいたことがありました。振り返れば、この経験が病気や治療に伴う痛みを緩和する治療に興味を持ち、ペインクリニックに取り組むきっかけとなったように思います。
その患者さんは、はじめは症状や検査所見から虫垂炎の診断を受けていました。しかし、その後の病理診断*の結果、がんと診断が変わったのです。手術を受け、いったんは退院できたものの、程なくしてがんが再発してしまいました。
そのとき私が考えたことは、“どうすればこの患者さんの苦痛を少しでも取り除くことができるのか”ということでした。そこで、くも膜下フェノールブロックや硬膜外ブロックなどを使い始めたところ、患者さんの抱える痛みを和らげることができたのです。患者さんが受診された当初から治療に携わらせていただいていたこともあり、そのご様子は今でもとても印象に残っています。
*病理診断:採取した細胞や組織を、光学顕微鏡などで調べる検査。腫瘍については、確定診断に用いられる。
研修を終えた後は、自治医科大学附属病院で
横浜市立大学附属病院で診療と研究に励む日々を過ごすうちに私は40歳を迎え、このまま診療と研究を続けていくか、それとも臨床に注力できる病院で働くか、今後のキャリアについて考えるように。最終的に“臨床医として多くの患者さんに関わりたい”と臨床に取り組む決断をし、現在も勤務する横須賀共済病院で麻酔科医として新たな道を歩み始めました。
横須賀共済病院に来てみると医師数が限られている中で多くの手術を行っていたため、想像以上に忙しく仕事に取り組むこととなりましたが、私は麻酔が好きなのでまったく苦になりませんでした。けれども、気管挿管による全身麻酔をかける際には患者さんの呼吸を止めざるを得ないため、気管挿管して人工呼吸を開始するまでは非常に危険な状態となります。確率的には、気管挿管がうまくいかない可能性もゼロではないわけです。なかでも高血圧や糖尿病、呼吸器疾患、心疾患などの合併症のある患者さんの場合、特に安全に配慮して全身麻酔を行う必要があります。
私が赴任した当初は、午前中はあまり手術がなく、お昼ごろから手術を開始して夜遅くや、時には日付をまたいで複数の手術を行っていました。麻酔科には上記のような特性があるため、限られた人員で安全に手術を行うにはもっと効率的に手術の予定を組む必要があると感じました。そこで、まずは“午前中から手術を入れて、定時には手術が終わるようにする”という理想を掲げ、手術に携わる先生一人ひとりに「手術を午前中からやりましょう」とお話ししたり、手術会議の折にはあらためて協力を仰いだりもしました。その結果、外科系の先生方や看護師をはじめとするコメディカルの方々の全面的な協力をいただきながら、今では理想に近づくことができたと自負しております。
また、安全に麻酔を実施するためには、患者さんに対して手術前に十分な説明を行うことが大切であると考えています。たとえ最終的に麻酔がうまくいったとしても、事前に説明していないことが手術中に起きた場合には、患者さんとの信頼関係が損なわれます。そういったことがないように、可能性のあることは事前に説明したうえで実際の医療にあたることを徹底しています。
麻酔科の若手医師たちには、経験できる麻酔法にばらつきが生じることがないように、いろいろな種類の麻酔を均等にできるようにということを心がけて指導をしています。若手医師にとっては、自ら“できる”という感覚をつかむことこそが何よりも強みになります。ですから、若手医師たちが自信を持って診療にあたれるように、指導医の1人として導きたいと思っています。
院長特別補佐として病院全体を考えたときには、スタッフがそれぞれに満足感を持って働けるよう職場環境を整えたいと考えています。さまざまな職種のスタッフが自分の仕事に誇りを持って勤務できる環境。それこそ、よりよい医療の提供にもつながるからです。患者さんはもちろんのこと、働くスタッフにも横須賀共済病院の理念の「よかった。この病院で」と感じていただけたなら、とてもうれしく思います。
私の原動力。それは、自分の仕事が患者さんを救うことにつながること、そして麻酔科医という仕事が好きということです。また、プライベートの時間は趣味であるジャズやお酒を
麻酔に関して、共に働く先生方、コメディカルの方々に「
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横須賀共済病院
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まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
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