インタビュー

坐骨神経痛とは。神経に沿って起こる痛みの総称

坐骨神経痛とは。神経に沿って起こる痛みの総称
福井 康之 先生

国際医療福祉大学塩谷病院 元院長

福井 康之 先生

この記事の最終更新は2016年01月05日です。

坐骨神経痛という言葉は、腰痛に悩んでいる方なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。2,000例以上の豊富な脊椎手術経験を持ち、多くの患者さんの痛みと向き合ってこられた腰痛・坐骨神経痛の名医、福井康之先生にお話をうかがいました。

私たちの身体のなかで、脊髄から枝のように全身に伸びている神経を末梢神経といいます。坐骨神経はそのなかでも最も太く、長い神経です。お尻から太ももの後ろ側を通り、ふくらはぎや足先へとつながっています。坐骨神経痛とは、この神経に沿ってお尻から脚にかけて起こる痛みの総称、すなわち症状名であり、何かひとつの疾患をあらわす病名ではありません。

痛みは左右いずれか片側だけに起こることが多いのですが、左右両方に痛みを感じる場合もあります。具体的な症状には下記のようなものがあります。

  • 座っているときにお尻がジーンと痛くなり、立って歩くと少し楽になる。
  • 座っているとき・横になっているときは何も症状がないが、立ち上がって歩くと、お尻から太ももの裏側や外側にかけて痛くなる。
  • 姿勢に関係なく、常にお尻からふくらはぎにかけて痛みを感じ、立ったり歩いたりすると痛みが増す。
  • しばらく立ったり、歩いたりすると腰から脚が痛くなって歩けなくなり、そして少し腰をかがめて休めば、痛みがおさまってまた歩けるようになる。(痛みが発症する際は苦痛をともない、日常生活に大きな支障をきたします。後述する腰部脊柱管狭窄症に特徴的な症状で間欠跛行(かんけつはこう)といいます)

坐骨神経痛の原因には色々ありますが、脊椎疾患では腰部椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症が二大疾患として挙げられます。(詳細は『坐骨神経痛の原因』

まず詳細な問診を行います。脊椎以外の内科疾患の有無、特に糖尿病高血圧や血管疾患の有無を確認することは重要です。家族に脊椎疾患で手術を受けた方がいるか、家族歴の確認も大事な診断材料となります。排尿排便機能に関しては、患者さんが自己申告しにくい面があるので、医師から尋ねてあげるようにします。

次に診察では以下の項目をチェックします。

  • 脊椎全体のアライメント(椎骨の配列)
  • 痛みの部位
  • 筋力
  • 知覚
  • 反射下肢伸展挙上テスト(腰部椎間板ヘルニアの際には仰向けに寝て脚をまっすぐに伸ばしたまま上にあげていくと、途中で痛みのため脚があがらなくなり、垂直まで持っていくことができません。この状態を「下肢伸展挙上テスト陽性」といいます)
 
下肢伸展挙上テスト

また、画像診断では次の3種類の検査が行われます。

レントゲン(単純X線)撮影検査

脊椎の変形の程度、彎曲(わんきょく)異常や腰椎すべりの有無を調べます。また、椎間腔(椎間の空き具合)から軟骨組織の変性の度合いを判断します。

MRI検査

核磁気共鳴断層撮影によって脊髄神経や椎間板など、単純X線で見ることのできない組織を画像化できます。

脊髄造影検査

脊髄腔に造影剤を入れてレントゲン動態撮影を行い、単純X線では写すことのできない脊髄神経の圧迫状態を調べます。CT(コンピューター断層撮影)を併用することでより正確な診断が可能になります。

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