坐骨神経痛は、様々な疾患をもとにして生じます。2,000例以上の豊富な脊椎手術経験を持ち、多くの患者さんの痛みと向き合ってこられた腰痛・坐骨神経痛の名医、福井康之先生に、坐骨神経痛の原因についてお話をうかがいました。
『坐骨神経痛とは』の冒頭でもご説明していますが、坐骨神経痛はお尻から脚にかけて起こる痛みの総称であって、ひとつの病気の名前ではありません。坐骨神経痛の原因となりうる主な疾患は下記のとおりです。
脊椎疾患で坐骨神経痛の原因として代表的なものは、腰部椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症です。
ヘルニアという言葉は、組織からその内容物が飛び出している状態を指します。椎間板ヘルニアはその名の通り、椎間板の内容物である髄核(ずいかく)が周囲の線維輪の一部を破って外に飛び出し、神経根を圧迫することによって痛みを引き起こすという疾患です。
髄核が線維輪を破って飛び出してしまう理由には、基本的に遺伝子が関与していて、近年では発症関連遺伝子が発見されています。このため、家族歴(家族内に同じ病気の人がいるか)も関係していると考えられます。その他の要因として、重労働や農作業などの環境因子もあります。
腰部脊柱管狭窄症が加齢による腰椎の変形によって生じるのに対し、腰部椎間板ヘルニアは20〜30代の比較的若年層に多く発症します。また、後述しますが、検査では下肢伸展挙上テスト(SRT)が陽性となるのが特徴です。
加齢によって腰椎には椎体骨棘(ついたいこつきょく・椎体にできるトゲ状の変形)や椎間板狭小化という変形が起こります。その結果、神経が通っている脊柱管のなかが狭くなり、神経が圧迫されて痛みを引き起こします。
脊柱管狭窄症は、生まれながらに脊柱管のなかが狭い作りになっている先天性狭窄症と、加齢によって椎体の変形が進んだために引き起こされる後天性狭窄症に分かれます。若年者でも発症する場合がありますが、一般に65歳以上の患者様に多く発症します。
しばらく立ったり、歩いたりすると腰から脚が痛くなって歩けなくなり、そして少し腰をかがめて休めば痛みがおさまってまた歩けるようになる、間欠跛行(かんけつはこう)は腰部脊柱管狭窄症に特徴的な症状です。
背骨は椎間板という軟骨組織により連結しています。椎間板は線維輪(せんいりん)と髄核(ずいかく)からなりますが、髄核が線維輪を破って突出し、神経を圧迫するじょ脚の痛みの部位は、ヘルニアの発生する部位によって異なります。
たとえば、もっとも多く発生する第4腰椎と第5腰椎の間のヘルニアでは、第5腰椎神経根が圧迫されるので、ふくらはぎの外側や足の甲から親指にかけて痛みやしびれが起きます。その次に多い第5腰椎と第1仙椎の間のヘルニアの場合は、ふくらはぎの裏側から足の裏や小指にかけて痛みやしびれが起こります。
多くの場合、左右どちらか片方の脚が痛くなり、左右両方とも痛むことはまれです。痛みは歩くときよりも座っているときに強くなることが多く、くしゃみや咳をすると腰から脚にかけて痛みが走ります。
仰向けに寝て脚をまっすぐに伸ばしたまま上にあげていくと、途中で痛みのため脚があがらなくなり、垂直まで持っていくことができません。この状態を「下肢伸展挙上テスト陽性」といいます。
ヘルニアによる神経圧迫が強いと、排尿や排便がしにくくなる「膀胱直腸障害」につながる場合があります。
先に述べた間欠性跛行が特徴的な症状です。血行が悪くなって起こる血行性間欠性跛行と異なる点は、腰部脊柱管狭窄症の場合は自転車に楽に乗れるということです。血行性の間欠性跛行であれば、ペダルをこぐ動作でも痛みを感じます。
腰部椎間板ヘルニアの場合と同様に、神経圧迫が強いと頻尿(おしっこが近くなる)になったり、排尿や排便がしにくくなる「膀胱直腸障害」につながる場合があります。
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