ようついすべりしょう

腰椎すべり症

最終更新日:
2024年08月16日
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2024/08/16
更新しました
2017/04/25
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概要

腰椎すべり症とは、背骨の一部である腰椎(腰の骨)が前後にずれて神経を圧迫する病気です。腰椎は5つの椎骨によって構成されています。

腰椎すべり症は原因によって“腰椎変性すべり症”と“腰椎分離すべり症”に分類され、腰痛のほかさまざまな症状がみられます。

治療法は保存療法と手術療法があり、患者の状態によって選択します。軽度の場合は、痛み止めなどを用いた薬物療法や腰への負担を軽減するためのコルセットなどを着用する保存療法を行います。保存療法で改善しない場合は、神経への圧迫を改善したり腰椎を固定したりする手術を行います。

原因

腰椎すべり症は、原因によって腰椎変性すべり症と腰椎分離すべり症の2つに分類されます。

腰椎変性すべり症は40歳以上の女性に多くみられます。主に加齢によって腰椎と腰椎の間を支える“椎間板(ついかんばん)”というクッションのような役割を持つ組織などが変性し、腰椎間の安定性が失われて椎骨がずれることで生じます。

一方、腰椎分離すべり症はスポーツを行う若い世代に多く生じます。激しい運動などを繰り返すと、腰椎を構成する椎骨の椎弓とよばれる後方部分、特に椎弓から上に伸びる上関節突起の付け根に過剰な負担がかかり疲労骨折が生じます(腰椎分離症)。この疲労骨折が原因となり、骨折部位がくっつかないまま放置され、椎骨の椎体とよばれる前方部分がずれると腰椎分離すべり症に進行します。

症状

椎骨形成する椎体と椎弓の間には脊柱管(せきちゅうかん)と呼ばれる管が通っており、その中を脊髄(せきずい)や神経が走行しています。

腰椎変性すべり症では、椎骨が前後にずれることで脊柱管が物理的に狭くなり、中の神経が圧迫されます。それにより腰痛や下肢の痛みやしびれのほか、歩行を続けるとこれらの症状が強くなり、少し休むと症状が改善して再び歩行できるようになる間欠跛行(かんけつはこう)が生じます。また、さらに進行すると足の筋力の低下や排尿障害などが現れることもあります。

腰椎分離すべり症の場合は、腰を後ろにそらせたときに椎骨が分離した部分に負荷がかかり、腰痛がみられることが特徴的です。また、椎骨と椎骨の間には脊髄から左右へ枝分かれした神経根が通っているため、ずれの程度が大きくなると神経根が圧迫されて、下肢の痛みやしびれを生じることがあります。

検査・診断

腰椎すべり症が疑われるときは、次のような検査が行われます。

単純X線検査

単純X線検査では腰椎のずれや疲労骨折の状態など、骨の状態を詳しく調べます。特に前屈、後屈の側面像でずれを確認します。

MRI検査

X線検査では描出できない神経への圧迫の程度などを評価します。またMRIではずれがいつ頃生じたのか、生じてからどのぐらいの時間が経過しているのかの判断が可能です。治療方針を決めるためにも必要な検査です。

治療

治療法は保存療法と手術療法があり、患者の状態によって治療方法を選択します。多くの場合、腰への負担を軽減するためにコルセットなどを着用する保存療法を行います。痛みがある場合には、痛み止めなどの内服のほか、脊髄の周りを囲む硬膜の外側に局所麻酔薬を注射する硬膜外ブロックや、ずれが生じている部分の直下にある神経根に注射する神経根ブロックなどを行います。これらの治療でも十分な効果がなく、日常生活に支障が生じる場合には、腰椎の一部を切除して神経への圧迫を改善する“椎弓切除術”や不安定な腰椎を固定する“腰椎固定術”などの手術を検討します。

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