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インタビュー

若年性特発性関節炎の原因・病態

若年性特発性関節炎の原因・病態
森 雅亮 先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座 教授

森 雅亮 先生

若年性特発性関節炎の「特発性」は原因不明を意味し、他の病気にもよく使われる医学用語です。しかし、根本原因は解明されていなくても、関節の炎症がなぜ起こるのかというメカニズムはある程度明らかになりつつあり、有効な薬剤も開発されています。小児膠原病のエキスパートであり、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座で教授を務める森雅亮先生に、若年性特発性関節炎の原因・病態についてお話をうかがいました。

若年性特発性関節炎JIA)の原因はまだ解明されていません。通常はウイルス感染をきっかけに関節の炎症が起こった場合、原因となったウイルスがなくなれば炎症も治まるはずですが、若年性特発性関節炎(JIA)では炎症の調節を行う免疫がうまく働かないため、炎症が治まらずに続いている状態だと考えられています。

若年性特発性関節炎JIA)の患者さんの場合、その関節ではTNF-αやIL-6、IL-1βなど炎症性サイトカインと呼ばれる炎症物質が通常よりも増えていることがわかっています。これが関節の痛みや腫れを引き起こす炎症の主な原因と考えられています。

全身型と関節型では、それぞれ異なる炎症性サイトカインが関わっていると考えられています。全身型ではIL-6とIL-1βが、関節型にはTNF-αが関わっていることが報告されています。また、全身型にはマクロファージの活性化が関わっています。

全身型若年性特発性関節炎では、何らかの理由でIL-6(インターロイキン-6) を中心とした炎症性サイトカインが過剰につくり出され、病態を引き起こしていると考えられています。

IL-6が増えると受容体(レセプター)の産生が促されます。IL-6と受容体が結びついた複合体が、標的となる細胞表面の受容体である gp130 に結合することによって、炎症や関節破壊などのさまざまな生物学的反応が引き起こされているのだと考えられています。

サイトカインとは、リンパ球などの免疫細胞が出しているホルモンのようなものだと考えていただくとわかりやすいかもしれません。リンパ球が私たちの身体の中で指令を出して、それが免疫反応を起こしているということです。

サイトカインやインターロイキンはそれぞれがひとつずつ出てくるのではなく、いくつかの種類のものが重なりあって出てきます。そのときにリーディング・サイトカインという、その病態を左右する中心的なものが必ず存在します。全身型の場合は、そのリーディング・サイトカインがIL-6なのであろうと考えられます。

しかしIL-6が増えるということは、他のサイトカインも増えることを意味します。例えばIL-6と密接に関わるIL-18が増え、IL-6よりもさらに高い値になるとマクロファージ活性化症候群(MAS)に移行しやすい全身型になり、逆にIL-6が優位でIL-18が低ければ関節型優位の病態になるといった違いがあるのかもしれません。治療においてはこのリーデイング・サイトカインをいかに抑えるかということが重要です。

炎症を引き起こすサイトカインをブロックする生物学的製剤では、ある分子だけをブロックすることで完全に症状がよくなるということがわかってきました。このことから逆に機序(病態が発生するメカニズム)が明らかになり、その部分がやはり病気の本体だったということがわかってきています。そこから原因の解明につながっていくのではないかと考えています。

もう一点、小児期と大人ではやはり違いがありそうだということがわかってきています。小さな子どもでは、遺伝的な背景や先天的な要因がより強く関わっているのではないかということも含めて、今後取り組むべきテーマであると考えます。

私が今回、東京医科歯科大学で新しく迎えていただいた寄附講座では、今後疫学的な体制と病態解明を2本立てで進めていく予定です。ひとつはバイオ(生物学的製剤)が教えてくれた、ワンポイントのヒットで病気がよくなるという現象を大切にして病態解明に取り組んでいくことです。もうひとつは大人と子どもでは病気の分類自体も見直していかなければならないと考えていますが、そこでは疫学的な評価が必要になります。

幸いなことに、これまで大人のリウマチ性疾患で統計を専門とされていた先生が新たに准教授として加わって下さることになりました。疫学的なデータの統計を活用して、大人と子どもの病態の違いを明らかにしていくことが私たちの今後の課題となるでしょう。

  • 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座 教授

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    森 雅亮 先生

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