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インタビュー

若年性特発性関節炎の症状・経過・予後

若年性特発性関節炎の症状・経過・予後
森 雅亮 先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座 教授

森 雅亮 先生

若年性特発性関節炎の症状は全身型と関節型で大きく異なります。また、全身型ではその一部が重い合併症を起こすこともあります。小児膠原病のエキスパートであり、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座で教授を務める森雅亮先生に、若年性特発性関節炎の病型ごとの症状、そして合併症を含めどのような経過をたどるのかについてお話をうかがいました。

どの病型(タイプ)にも共通するのは、慢性的な関節の炎症です。 炎症のために痛み・赤くなる(発赤)・腫れる・熱をもつ・動かしにくいなどの症状がみられます。関節炎が長期に及ぶと関節の変形や成長障害があらわれ、QOL(quality of life:生活の質)が損なわれます。適切な治療を受けないと関節が壊され、関節としての機能が果たせなくなることがあります。

急な発熱と発疹の2つの症状が現れることが全身型若年性特発性関節炎の特徴です。発疹は蕁麻疹(じんましん)のようなものもあれば、うっすらとサーモンピンクの発疹が広がるものなどさまざまなタイプがあり、発熱と相関して現れます。

  • 弛張熱(ちちょうねつ・1日のうちの変動が1℃以上の発熱)または間欠熱(かんけつねつ・特徴的なパターンを繰り返す発熱)
  • リウマトイド疹(しん)と呼ばれる発疹
  • 関節炎

分類上の定義では、発熱が少なくとも2週間(14日)以上続くこととされています。しかし最近では若年性特発性関節炎に対する認識が高まっているため、発熱と発疹があり、なおかつ抗生物質を使っても熱が下がらないという状況があると、そこまで待たずに専門医へ紹介されることが多くなっています。

  • 胸膜炎(肺と胸壁の内側をおおう膜の炎症)
  • 心膜炎(心臓をおおう膜の炎症)
  • 肝脾腫(肝臓と脾臓が大きくなっている状態)を伴うこともあります。

関節炎では膝や足など下肢の大きな関節に炎症が起きやすい傾向がありますが、適切な治療をすれば関節機能の予後は比較的良好です。

左右対称に同じ関節で痛みや腫れがみられることが多く、手や指の小さな関節をはじめ、ひじ・足・膝の関節、さらには首や顎の関節でも炎症がみられます。微熱・倦怠感・食欲不振などの全身症状をともなうこともあります。

乾癬(かんせん)は皮膚から少し盛り上がった赤い発疹を特徴とする慢性の皮膚疾患です。多くの場合皮膚症状としての乾癬が先行し、その後で関節炎・指趾炎(ししえん・手足の指全体の腫れや痛み)・付着部炎・脊椎炎などの関節症状が現れます。しかし、皮膚症状が後になったり、あるいはまったく現れない場合もあります。関節炎は少関節炎として起こり、膝関節の発症頻度がもっとも高くなっています。

付着部炎とは腱や靭帯が骨にくっつくところに起こる炎症で、その部分を押すと痛みがあることで判別します。膝蓋骨(いわゆる膝の皿)と腱の付着部、踵(かかと)やアキレス腱、足の裏などに多くみられます。関節炎は股関節・膝関節・足関節など下肢の大きな関節に起こることが多く、4カ所以下の少関節から始まり、進展すると5カ所以上の多関節になります。しかし、指など小さな関節に及ぶことはあまりありません。

全身型若年性特発性関節炎では、マクロファージ活性化症候群(MAS)と呼ばれる重大な合併症を起こす可能性があるので注意が必要です。この病気ではコントロール不能な発熱、リンパ節の腫れ、肝脾腫などを伴います。治療介入が遅れると生命に関わるため、ただちにリウマチ専門医を受診する必要があります。

抗核抗体という検査が陽性の場合は、ぶどう膜炎という目の病気を合併しやすいので、定期的な眼科検診を必要とします。治療が遅れたり不十分な場合には失明のおそれもあります。

若年性特発性関節炎JIA)は大人の関節リウマチと異なり、完治することが期待できる疾患です。海外のデータでは、5〜10年後にJIA全体で約3割の患者さんが治ったという報告があります。その病型ごとの内訳は、多い順に持続型少関節炎(43%)・進展型少関節炎(13%)・リウマトイド因子陰性多関節炎(22%)・全身型(34%)・リウマトイド因子陽性多関節炎(0%)となっています。

  • 日本ではJIAの患者さんが亡くなったケースは全身型の患者さんのみで、その原因は急性期のマクロファージ活性化症候群(MAS)や、播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群(DIC)でした。全身型のうち、約10%の症例で活動期にマクロファージ活性化症候群(MAS)への移行が認められ、適切な治療がなされなければ、血管内皮や臓器細胞の障害と播種性血管内凝固症候群(DIC)が進行して、最終的に多臓器不全に至ると考えられています。
  • 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座 教授

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