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インタビュー

若年性特発性関節炎のリハビリと日常生活

若年性特発性関節炎のリハビリと日常生活
森 雅亮 先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座 教授

森 雅亮 先生

若年性特発性関節炎の治療は長期にわたる場合が多く、日常生活においても注意すべき点があります。家庭や学校など、周囲の協力なくしては治療が成り立たない難しい病気でもあるのです。小児膠原病のエキスパートであり、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座で教授を務める森雅亮先生に、リハビリテーションや日常生活で注意すべき点、ご家族の病気への取り組みなどについてお話をうかがいました。

若年性特発性関節炎と診断されたとき、関節痛のみで運動機能に障害がない場合には機能障害の予防を目標とします。すでに活動が制限されている場合には、その機能障害を回復させることを目標としてリハビリテーションを行います。病院内におけるリハビリテーション科との連携も非常に重要です。

  • 炎症が進んでいるときには、安静にして患部を冷やします。
  • ただし寛解期においては、動かしたり体重がかかるときに痛みを感じる場合には患部を温めます。
  • リハビリテーションは必ず治療によって炎症がおさまってから行ないます。
  • 固くこわばった関節をほぐし、可動域を拡げるためにストレッチを行います。
  • 温水プールでの運動は関節への負担が少ないため有用です。

関節症状が進んで関節が変形するなど機能が損なわれている場合には、装具の利用などによってできる限り活動制限を軽減するようにします。しかし、現在は薬物治療が進んできたため、装具を用いるケースは非常に少なくなっています。

日常生活の中では、関節になるべく負担がかからないような動作や工夫を心がけます。体育の授業などでは関節に負担がかかる動作は避ける必要があります。また、長時間同じ姿勢を続けないことや、筆記用具を使った後に手の指をのばすなどの指導を行ないます。

痛みやだるさは雨が降るとひどくなるなど、天候によっても変わります。また、1日の中でも時間帯や疲れによって症状に波があります。具合が悪いときには我慢をせず休むことも必要です。学校の先生や周囲の友人にも病気のことを正しく伝え、理解と協力を求めることが大切です。

あすなろ会は、若年性特発性関節炎JIA)の子どもを持つ親たちの会として活動しています。保護者の方たちが勉強熱心で、非常に詳しい知識を身につけておられます。やはりお子さんの体調の変化を一番敏感に察知できるのはご家族です。

日本リウマチ学会小児リウマチ調査検討小委員会の編集による「若年性特発性関節炎初期診療の手引き」は、専門外の小児科医や整形外科医の先生方だけでなく、患者さんのご家族にも読んでいただけるものとして作成しました。現在、ダイジェスト版の作成も準備しており、より一層の普及・浸透に努めています。

地域の小児科医は非常に幅広い疾患を扱うため、トリアージ、すなわち緊急度・重症度などに応じた優先順位付けと医療機関への紹介を行なわなくてはなりません。そこでご家族がJIAについての正しい知識を持っておられることが重要になってきます。現在、地域の小児科医の先生方も関節炎のお子さんについてはかなり注意を払って下さっていて、二次病院への連携においても非常によい状況ができていると感じています。

子ども専門病院では18歳でいったん治療が打ち切られ、内科などに引き継がれることになります。大学病院などであれば移行期になった場合もキャリーオーバーという形で継続的に診ていくことが多くなっていますが、リウマチ性疾患は、やはり成育医療という長期的な視点でとらえる必要があると考えます。

例えば関節リウマチが良くなったと思われたお子さんたちがその後どういう経過をたどっていったのか、実は後になって変形をきたしていたり、関節炎が再発していたとしても、現状ではまったく分からない状態になっています。

これを何とかするためには、患者さんを登録してその後の経過を調べていく必要があります。日本小児リウマチ学会が主体となって始めようとしている登録制度の狙いもそこにあります。

若年性特発性関節炎は、きちんと治療することができればドラッグフリー(減薬、中止)になる方もいますし、学校を休まなくても済み、進学することも好きな仕事に就くこともできます。もちろん恋愛も、結婚して赤ちゃんを産むこともできる―そういった「普通のこと」ができるようになっていただくことが私たちの最大の願いでもあり、小児リウマチ医の目標でもあるのです。

  • 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座 教授

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    森 雅亮 先生

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