はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん

播種性血管内凝固症候群

同義語
DIC,播種性血管内凝固
最終更新日:
2023年12月28日
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2023/12/28
更新しました
2017/04/25
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概要

播種性血管内凝固症候群(DIC)とは、血液が異常に固まりやすい状態となり、多くの血栓(小さな血の塊)が形成される病気のことです。発症すると全身の細い血管が血栓によって詰まるようになります。そして血液を固めるのに必要な血小板や凝固因子が使い果たされて不足していくことで、出血を抑える作用も低下するためにさまざまな部位で出血が起こりやすくなり、命に関わるケースも少なくありません。

この病気は、がんや重症な感染症(敗血症肺炎など)といった何らかの別の病気や外傷が原因となって二次的に引き起こされます。そのため、治療は血栓の形成や出血を抑えるための薬物療法とともに、原因となる病気や外傷自体の治療も必要になります。播種性血管内凝固症候群は重篤な病気のため、早期発見・早期治療が重要であると考えられています。

原因

播種性血管内凝固症候群は、血液が固まるはたらきが異常に高まることによって引き起こされる病気です。がんや重症な感染症、外傷妊娠・出産の異常、手術などが発症の引き金になると考えられており、発症のメカニズムには大きく分けると2つのパターンがあると考えられています。

1つは表面に血液を固める作用を引き起こす因子が存在するがん細胞などによって血液が固まりやすくなるパターンで、もう1つは細菌感染などによって細菌が産生するエンドトキシンと呼ばれる発熱物質が血液を固める成分の産生を促すパターンです。

また、いずれのパターンも進行すると血小板や凝固因子など血液を固めるのに必要な成分が使い果たされていくため、次は出血を抑制する作用が極端に低くなって出血しやすい状態になります。

症状

播種性血管内凝固症候群は急激に症状が現れるタイプと、ゆっくり進行していくタイプがあります。

重症な感染症や手術などが原因となる播種性血管内症候群の場合は、症状が急激に現れることが多く、突然重度な出血がみられるのが特徴です。特に出産後や手術中に発症した場合は出血を止めることができなくなり、命に関わることも少なくありません。

一方、がんなどはゆっくりと進行していくことが多く、まずは全身に血栓ができるようになって細い血管を詰まらせるため、組織の壊死(えし)や腎臓、脳、肺などの重要な臓器の機能障害を引き起こします。そして、次第に出血しやすい状態となり、脳出血や消化管出血などを引き起こす可能性があります。

検査・診断

播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)が疑われるときは以下のような検査が行われます。

血液検査

播種性血管内凝固症候群の診断に欠かせない検査です。

血液検査では血小板数やプロトロンビン時間(出血が止まる時間を評価する指標)、フィブリノゲンやFDPなど、血液が固まりやすくなると増加する物質量の計測が行われます。また、アンチトロンビンや可溶性フィブリンなども播種性血管内凝固症候群の診断のために調べられることがあります。

画像検査

播種性血管内凝固症候群の診断に必須ではありませんが、この病気によって脳出血腹腔(ふくくう)内出血などを引き起こしている可能性がある場合にはX線、CT、超音波などによる画像検査を行う必要があります。

治療

播種性血管内凝固症候群は、原因となる病気や外傷の治療を行うことがもっとも重要です。併せて、血液が固まりやすく出血しやすい状態を抑える治療を行う必要があります。

原因となる病気の治療としては、がんに対しては手術による腫瘍(しゅよう)の摘出や抗がん薬治療、感染症に対しては抗菌薬の投与などが挙げられます。

血液が固まりやすい症状に対する具体的な治療には、血液が固まるのを抑えるためにヘパリンナトリウムなどの抗凝固薬が使用され、場合によっては血液を固める作用を持つ凝固因子のはたらきを抑える合成タンパク質分解酵素阻害薬などが用いられることもあります。また、出血しやすい状態に陥っている場合には、血小板製剤や血液を固めるのに必要な凝固因子が含まれた新鮮凍結血漿製剤を投与します。

予防

播種性血管内凝固症候群は、さまざまな病気や外傷などによって引き起こされる病気です。発症すると命に関わる重篤な病気であるため、発症を予防することが何よりも重要となります。

発症を予防するには、播種性血管内凝固症候群を引き起こし得るがんや重症な感染症などは適切な治療を行うことが大切です。そのためには病気の早期発見と早期治療を心がける必要があります。

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