宮崎県宮崎市にて、地域医療の提供に尽力する南部病院は、2017年12月に開院30周年を迎えました。同院は開院時から「患者さんに寄り添った医療の提供」を理念としています。さらに、在宅医療を行っている先生方への支援など、患者さんに寄り添った医療を提供するためにさまざまな取り組みを行っています。同院で行われている取り組みや、治療について医療法人社団 誠友会 南部病院の院長山成英夫先生にお話を伺いました。
当院は、1987年に、患者さんに寄り添った医療を提供したいと考えた現・理事長の八尋克三先生が開院した病院です。開院後は地域の医療ニーズに対応するために、診療科の拡充や増床を行ってきました。
当院は、開院時から「地域のみなさまに親しまれ信頼される」病院を目指しています。この目標を達成するために掲げている、当院の理念を紹介します。
「南部病院は病める人に対して人間愛と奉仕の精神で誠心誠意尽くす医療の場である。我々はこの趣旨達成のために日々自己の最善を尽くし常に向上心を持ち続けなければならない」
この理念を達成するために当院では、地域のみなさまに急性期医療の提供を行っています。さらに、地域在宅医療を行っている医師へのバックアップなど、地域の医院との連携を密にしています。以下では、当院の急性期医療の提供や、地域の先生方への支援についてお話いたします。
当院は地域の急性期病院として、救急患者さんの受け入れを積極的に行っています。また、地域の方が気楽に来院され何でも相談できる民間病院としての役割も担わなくてはならないと考えています。そのため、医師の得意分野での治療提供を行うのはもちろんのこと、地域住民の医療ニーズに対応した医療の提供も行っています。
また、当院で治療が難しい病気などは、当院で検査をしたうえで、宮崎大学医学部附属病院や県立宮崎病院などにご紹介をしています。また、治療に応じて近隣の医院とも連携し、地域のみなさまに切れ目のない医療の提供を心がけています。
病気の治療が終わりご自宅での療養が必要になる患者さんのなかには、在宅医療を受けていただく方もいます。切れ目のない医療を提供するために、当院では、在宅医療を行っている地域の先生方への支援にも力を入れています。当院で治療を行って終わりにするのではなく、退院後も地域の先生方と連携を取り、患者さんと関わっていきたいと思います。
地域で在宅医療を行う先生方への支援の1つとして、月に1回カンファレンスを実施しています。このカンファレンスは、地域で在宅医療をされている5つの医院の先生方と行います。当院からは医師・病棟・外来・訪問看護ステーション、そして地域連携室のスタッフが参加しています。在宅医療を受けている患者さんにはどのような方がいるのか、当院での治療や入院が必要な患者さんはいるのか、などを共有しています。
治療や入院が必要な患者さんは、可能な限り当院で受け入れ、治療を行っています。
在宅医療のニーズが高まっているなかで、地域の先生方の高齢化もみられ、患者さんだけでなく地域の先生方をバックアップすることも必要です。これからも、地域で在宅医療に貢献している医療機関の支援をしていきたいと考えています。
当院は、患者さんの口腔ケアにも力を入れています。私は患者さんには、最後まで口から食事をしてほしいと考えています。そのため、宮崎市や福祉センターの歯科医、歯科衛生士を当院にお呼びし、週に1度口腔ケア回診を実施しています。口腔ケア回診では、口腔内が清潔に保たれているか、嚥下機能(えんげきのう)は弱まっていないかなどを診察しています。
また、入院している期間だけ口腔ケアをするのではなく、退院後も入所した介護施設や在宅医療を受けるなかでも口腔ケアが行えるようにしたいと考えています。そのため、介護施設の方々と口腔ケアの勉強会を開催しています。勉強会を通じて口腔ケアを地域に広めていきたいと思います。
当院の外科では、消化器の治療を多く行っています。上部消化器官(食道、胃、十二指腸、小腸)や下部消化管(結腸、直腸、肛門)の治療のほか、肝・胆膵(肝臓、胆のう、すい臓)の治療を提供しています。特に内視鏡的治療や鏡視下手術には力を入れています。
さらに、当院は2012年より鏡視下手術の一つとして「腹腔鏡下ヘルニア根治術」の治療をはじめました。以下では、当院が行っている鼠径ヘルニアの治療について解説します。
鼠径ヘルニアの治療では、症状や状態に応じて2種類の手術方法を提示しています。そもそも鼠径ヘルニアとは、足の付け根にあたる鼠径部(そけいぶ)にしこりや、腫れがみられる病気です。鼠径ヘルニアはいわゆる脱腸といわれています。
鼠径ヘルニアの治療は、鼠径部を切開する従来の前方アプローチ法と、腹腔鏡下手術法です。この2つの方法のなかでも、当院では2012年から腹腔鏡下手術法の提供を開始しています。腹腔鏡下手術法の提供を開始して以降、腹腔鏡下手術法での治療を数多く行っています。
腹腔鏡下手術は、手術後の痛みが少ない低侵襲な手術として期待されている手術です。また、手術後の痛みが少ない点や傷跡が小さい点などから、術後の早期社会復帰も期待されています。当院では、外来で診断したあとに患者様の希望に応じて相談しながら手術日を決定しています。
当院では、消化器の病気に対してCT室・透視室・内視鏡室での検査から手術までを一つのチームで行える診療部門を新たに立ち上げました。当院の得意分野である、消化器の治療にさらに力を入れて進化させてまいります。また、チームで診療にあたることで、若手医師やスタッフが自ら考え、成長につながることができるのではないかと考えています。
南部病院は、理事長である八尋先生が「患者さんに寄り添った医療を提供したい」と考えて開院した病院です。我々の理念は開院時から変わらず、一人ひとりの患者さんに寄り添った医療を提供することです。
当院に入院された患者さんが退院され、在宅介護や在宅医療を受けられることになった際にも、当院が関わっていけるようにしています。そのためには、地域の医療機関との連携をもっと深めていく必要があります。在宅医療の提供を行っている先生方を支援することで、地域のみなさまにも迅速な対応が可能になると考えています。
地域のみなさまに親しまれ、信頼される病院を目指し、スタッフ一同努力してまいります。
誠友会 南部病院 院長
山成 英夫 先生の所属医療機関
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まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。