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頚椎後縦靱帯骨化症の手術とは? 重症化するタイプでは手術を実施

頚椎後縦靱帯骨化症の手術とは? 重症化するタイプでは手術を実施
進藤 重雄 先生

国家公務員共済組合連合会 九段坂病院 診療部長

進藤 重雄 先生

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この記事の最終更新は2019年02月01日です。

頚椎後縦靱帯骨化症では、手足のしびれなどの症状を和らげることを目指して、手術が行われることがあります。手術方法には、主に後方法と前方法がありますが、それぞれどのような手術方法を指すのでしょうか。また、どのような症例でこれらの手術が行われるのでしょうか。

今回は、九段坂病院 整形外科の進藤重雄先生に、頚椎後縦靱帯骨化症の手術方法や手術の流れについてお話しいただきました。

頚椎後縦靱帯骨化症の手術方法には、大きく分けて後方法と前方法があります。

手術

後方法とは、骨化した部分はそのままにして、神経が通っている脊柱管を広げる手術方法です。後方法による手術には、脊柱管を広げることで神経の圧迫を改善する効果が期待できます。後方法は、基本的に、骨化の範囲が狭く、骨化した部分の厚みがそれほどない場合に行われます。

前方法による手術には、神経の圧迫を改善するために骨化した部分を完全に取り除きプレートで固定をする前方除圧固定術や、骨化した部分を薄く切り取り浮き上がらせ前方へ移動させる骨化浮上術があります。

骨化浮上術による手術例
骨化浮上術による手術例

前方法は、主に、骨化している部分が大きかったり、厚みがあったりするような症例に対して行われます。

後方法によって脊柱管を広げるだけでは十分な改善が期待できず、神経への圧迫が残ってしまうような症例に対して行われることが多いといえます。

前方法のリスク

前方法は後方法と比べて手術時間が長く、食道や動脈などの主要臓器や声帯の神経を損傷するリスクがあります。また、手術による合併症も多いことがわかっています。手術による合併症には、一時的ですが食べ物や飲み物をうまく飲み込むことができなくなる嚥下障害(えんげしょうがい)や、呼吸がうまくできなくなる呼吸障害などが挙げられます。

また、まれな例ではありますが、手術を行った部位の出血や腫れによって窒息してしまう可能性もあります。

当院では、手術の前の検査で全身状態などに問題がなければ、手術の2日前に入院していただきます。

後方法による手術の入院期間は1か月程度、前方法は2~3か月程度であることが多いです。前方法による手術は合併症が起こる可能性が高いため、術後のケアを考慮し入院期間が長くなる傾向にあります。

頚椎後縦靱帯骨化症の術後は、基本的に翌日から身体を起こしてベッドに座ってもらうようにしています。そして術後、状態がある程度落ち着いたタイミングで、歩行やストレッチなどのリハビリを開始します。前方法による手術を行なった患者さんであると、術後4〜5日程度でリハビリを始めるケースが多いでしょう。

リハビリ

食事をすることができるかどうかは、患者さんの状態によって異なります。たとえば、時間がかかるケースでは、食事を始めるのに術後1週間程度を要します。

当院では、頚椎後縦靱帯骨化症の手術後には、1か月〜2か月に1度の頻度で、半年程度通院していただき経過観察を行います。半年を過ぎ状態が安定した後は、年に1度通院していただくケースが多いです。

経過観察を行なっていく中で、新たに骨化が起こった場合には、症状を確認しながら必要であれば再度手術を行うこともあります。

当院では、後方法、前方法、どちらの手術も行なっています。お話したように、特に前方法には、術後、嚥下障害や呼吸障害などの合併症が起こるリスクが高いといわれています。当院では、なるべくこれらの合併症を起こさないよう手術技術の向上に努めています。

また、ナビゲーションシステムを導入することで、より正確で安全な手術を行うことができる体制を整えています。具体的には、ナビゲーションシステムを用いて、CT撮影を行いながら手術を行うことで、骨化している部分や、神経の圧迫の程度を常に確認しながら手術を行っています。

また、術後の合併症を早期で発見するためには、看護師やリハビリスタッフ、薬剤師などの医師以外のスタッフの対応も大切であると考えています。当院では、看護師やリハビリスタッフなど医師以外のスタッフが、患者さんの呼吸状態などを確認し、何かあれば医師へ伝えるような体制が築かれています。

進藤先生

記事2『頚椎後縦靱帯骨化症の診断と治療』でお話ししたように、頚椎後縦靱帯骨化症と診断されたすべてのケースで必ずしも手術が必要となるわけではありません。

症状が現れず、何らかの画像検査によって偶然、骨化が発見されたようなケースでは、症状が現れないまま経過することがほとんどです。

そのため、頚椎後縦靱帯骨化症と診断されたからといって、過度に不安に感じないようにしてほしいと思います。病気の名前だけで判断せず、今後どのように経過していくのか、しっかりと専門医の説明を受けるようにしていただきたいと思います。

また、お話ししたように手術を行うときには、タイミングが大切です。それは、病気が進行し、症状が強く現れてからでは、術後に残る症状の程度も大きくなってしまうからです。本当に手術が必要かどうか、いつ手術を行うべきか、医師によるきちんとした説明を受けるようにしてほしいと思います。手術を行うべきか迷ったり、不安を感じたりするような場合には、他院にてセカンドオピニオンを求めることもおすすめします。

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    進藤 重雄 先生

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