院長インタビュー

“信頼と安心の医療の提供”を理念として地域に貢献する済生会兵庫県病院

“信頼と安心の医療の提供”を理念として地域に貢献する済生会兵庫県病院
山本 隆久 先生

済生会兵庫県病院 院長

山本 隆久 先生

目次
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社会福祉法人恩賜財団 済生会兵庫県病院(以下、済生会兵庫県病院)は、医療によって生活困窮者を救うという目的をもって設立された済生会の精神に基づき、兵庫県神戸市北区を中心に医療を提供する総合病院です。“信頼と安心の医療の提供”を理念に掲げ、現在は救命救急、周産期やがん治療などで地域の急性期医療に対応できる体制をとっており、2019年には創立100周年を迎えました。

同院の診療体制の特徴や強み、地域貢献への取り組みなどについて、病院長の山本 隆久(やまもと たかひさ)先生にお話を伺いました。

済生会兵庫県病院 外観

済生会兵庫県病院 外観

当院は、“生活困窮者を(すく)う”、“医療で地域の(いのち)を守る“、“医療と福祉、会を挙げて切れ目のないサービスを提供”という3つの目標を掲げる済生会の一院として、医療活動を展開しています。そもそも恩賜財団済生会は、1911年(明治44年)に明治天皇が「医療によって生活困窮者を救済するように」というご趣旨のもとに発せられた済生勅語と御下賜金をもとに創立されました。以来、100年以上にわたって40都道府県で全職員約62,000人が医療、保健、福祉活動を行っています。

生活保護受給者など低所得者の医療費を免除または減額する“無料低額診療(無低)事業”を実施するにとどまらず、2010年からは“なでしこプラン”事業も行っています。この“なでしこプラン”とは、ホームレスや家庭内暴力(DV)被害者、刑務所出所者、障がい者、高齢者、在留外国人などの医療、福祉サービスにアクセスできない人たちを対象に巡回健診、予防接種、健康相談等を行う事業となっています。当院も済生会の精神にのっとり、医療福祉相談にも力を入れ、さまざまな事情を抱えてお困りの患者さんの不安や心配事へのケアを重視しつつ医療の提供に当たってまいりました。

済生会兵庫県病院 外来の様子

済生会兵庫県病院 外来の様子

当院は、1919年5月に神戸市葺合区(現中央区)において兵庫県済生会診療所として開設し、1921年に“社会福祉法人 恩賜財団 済生会兵庫県病院”と改称。1991年には、現在の神戸市北区に移転しています。地域に根ざして医療を提供してきた甲斐があり、2019年に創立100周年を迎えた際は、記念式典と祝賀会に県知事をはじめ、多くの地域関係者がご参加くださいました。

現在は病床数268床(2020年1月時点)となり、近隣区域において急性期医療に対応できる病院としての役割を果たしています。特に救急、消化器、がん治療、周産期、人工関節などの分野では総合的な医療機能をさらに充実させ、地域の皆さまのお役にたてるよう、日々診療に当たっています。

済生会兵庫県病院 地域周産期母子医療センターの様子

済生会兵庫県病院 地域周産期母子医療センターの様子

当院は、2001年に兵庫県の“地域周産期母子医療センター”に指定されました。以来、24時間体制で兵庫県内のハイリスク妊婦、低出生体重児、ハイリスク新生児の受け入れを行っています。さらなる周産期医療の充実、機能強化を目指し、産科と新生児集中治療室(NICU)が一体となった設備と環境を整え、今後も地域の周産期医療の中核として、いっそう積極的に取り組んでまいります。

また、2015年8月には赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital:BFH)の認定を受けました。BFHとは、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)が提唱する“母乳育児を成功させるための10か条”を遵守、実践する産科施設のことで、日本では66施設(2019年8月現在)が認定を受けています。当院では、母乳育児による母と子の信頼関係強化が社会の健全化につながるという信念のもと、母乳育児の支援や産後のメンタルヘルスケアに注力しています。また退院後も、電話訪問や母乳外来を通じて、母乳育児を継続していくための支援を行っていることが特徴です。

当院は、神戸市二次救急輪番病院の一員として、神戸市北区を中心に、三田市、西宮市などを含めた北神地区医療圏における救急医療に当たっています。産科・新生児に関しては24時間のホットライン対応を実施。特に小児救急については、地域の状況を考慮し、急を要する症例は一次救急も倫理的な判断をもって対応しています。また、当院は神戸市災害対応病院に指定されています。阪神・淡路大震災での経験を踏まえ、災害時には避難所や福祉避難所への医療の提供ができるような医療機能の確保及びハード面の整備を目指しています。

2016年に“地域医療支援病院”に承認された当院は、地域住民の方々への医療の継続性に重点を置き、地域の医療機関と連携をしつつ、“かかりつけ医”や“かかりつけ歯科医”を後方から支援しています。北区は病院部会の結束が固く、それぞれの病院の特徴を生かした機能分化、協力的な連携がとれていると自負しています。地域医療構想の構築に関しても、周辺の医療機関の先生方と協力して、さらなる医療連携が図れるよう尽力してまいります。

当院では、職員が安心して子育てと仕事を両立できる環境をつくるため、院内保育所“なでしこ保育所”を開設しております。他にも、遠方から入職する職員のための看護師寮もあり、働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。

看護部においては、看護師の入職時から1年間は、先輩看護師がマンツーマンで新人看護師につき、責任を持って指導する体制をとっています。また、キャリアに応じた教育プログラムが用意されており、看護実践能力を高めるために必要な専門的知識の会得と技術の向上への積極的な支援体制を設けています。

山本先生

当院は、神戸市北区とその周辺エリアで急性期にも対応できる医療機関としての役割を果たしております。しかし、現状に満足せず、地域の皆さまが医療の不安なく安心して日々の生活を送れるような医療の提供体制の構築を目指して、患者さんと協力しながらよりよい病院づくりに引き続き尽力してまいります。具体的には、この地域でも高齢者の割合が増えていることに対応して、特別養護老人ホーム“ふじの里”や訪問看護ステーションを併設。福祉、介護の面でも施設やサービスを充実させることで、病院機能を中心とする地域社会への貢献を進めております。今後も済生会の理念に基づき、「この病院で診療を受けてよかった」と皆さまに思っていただけるような診療を提供していきます。

当院は、新生児から高齢者までを対象とした診療が可能な総合病院であり、プライマリーケアや救急医療など幅広く学びやすい環境にあると自負しています。さらに診療科間の連携も良好なので、気軽に相談ができる雰囲気が醸成されています。

また、済生会の理念に基づいた病院運営を行っていることも当院の大きな特徴です。これは、医師としての技術だけではなく、一人間として奉仕の精神や福祉の面での学びも大きいと考えています。今後も、当院では教育の場にふさわしい環境づくりにも努めてまいります。

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