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うわまち病院が取り組む“働き方改革”——第13回 JADECOM学術大会 メインシンポジウム『多職種の視点から見た働き方改革』より

うわまち病院が取り組む“働き方改革”——第13回 JADECOM学術大会 メインシンポジウム『多職種の視点から見た働き方改革』より
沼田 裕一 先生

横須賀市立うわまち病院 病院管理者、公益社団法人 地域医療振興協会 副理事長

沼田 裕一 先生

目次
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 公益社団法人 地域医療振興協会(JADECOM)は、地域保健医療の調査研究ならびに地域医学知識の啓発活動、総合医の養成などを通して地域の発展に貢献することを目指し、さまざまな公益事業に取り組んでいます。地域保健医療に関する研究会や講習会の開催もその一例です。

  JADECOMでは、毎年、学術大会を開催し、協会内施設のスタッフが共に学び合う機会を設けています。13回目となる2019年度のテーマは『地域医療における働き方改革-Decent work for all-多職種連携をとおして』です。今回は、第13回 JADECOM学術大会の様子をご紹介します。

 開会に先立ち、学術大会長の横須賀市立市民病院 管理者 久保 章(くぼ あきら)先生より開会の挨拶が行われました。少子高齢化をはじめとする地域医療の現状と共に、本シンポジウムのテーマに込めた思いやプログラムの内容についてお話しいただきました。

学術大会 大会長の久保 章先生
学術大会 大会長の久保 章先生

 働き方改革とは、生産性の向上と共に、個々の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会の実現を目指し、柔軟な勤務体制の構築などを行うものです。当大会におけるメインシンポジウム『多職種の視点から見た働き方改革』では、医師、看護師、臨床検査技師、事務職など、それぞれの立場から考える働き方改革について発表が行われました。

メインシンポジウムの様子
メインシンポジウムの様子

 横須賀市立うわまち病院 管理者の沼田 裕一(ぬまた ゆういち)先生の演題は『医師の働き方改革について』です。同病院では、近年、働き方改革に積極的に取り組んでおり、“育児休業者漸次復職プラン”や“全職種の短時間正職員制度”など、柔軟な勤務体制を可能とするさまざまな制度を導入しています。以下に、沼田 裕一先生の発表内容をレポートします。

発表を行う沼田 裕一先生
発表を行う沼田 裕一先生

 日本の医療業界では、医師の長時間労働が度々問題となってきました。一方、医師には医師法に基づく応招義務があるため、患者の急変があれば対応の指揮を執らなければなりません。そして、その発生時間を予測するのは難しい実情があります。さらに、人の生命を預かる職業として、医師には継続的な研鑽が必要とされます。このような医師という職業の特性から、ほかの職業同様に時間外労働規制を適応することは難しいと判断され、2019年の4月から5年間ほどその対象から外れることになりました。

 しかし、5年後には規制の対象となるように、厚生労働省は医師の働き方改革検討会を設けています。現状では、医師の労働時間の短縮に向けた緊急的な対応として、有給休暇の付与や、医師の時間外労働時間の的確な把握などが推進されています。

 日本の25~60歳の女性医師の就業率は、出産や子育てによって男性医師よりも非常に低い現状があります。アメリカと日本の大学を卒業した女性の退職理由を比較したデータによると、アメリカの女性は家庭の問題で仕事を辞める傾向があるのに対して、日本の女性は、仕事内容や待遇に満足できず退職する傾向があるということが分かりました。このような日本の状況に対して「日本は女性の能力を無駄にすることに非常に無頓着である」というような国際的な批判の声もあり、企業など仕事を与える側の問題だといわれています。

    一方、日本は世界でも高齢者が就業している割合が高い国です。働き方改革を実現するためには、今後は、女性の能力を生かすとともに、高齢者の積極的な活用が重要になると考えています。

 当院では、2016年度から“女性活躍推進プロジェクト”を立ち上げました。毎月議論を重ねて、女性スタッフがさらに活躍することができるよう院内の整備と改革を進めています。

 また、全職種を対象とした“うわまち病院版プレミアム・フライデー”や“育児休業者漸次復職プラン”“全職種の短時間正職員制度”などを推進しています。育児休業者漸次復職プランでは、育児休業後の復職プランの相談窓口を設けるとともに、育児休業取得後の復職が難しい現状を踏まえ、復職後の相談にも応じています。全職種の短時間正職員制度は、医師や看護師だけではなく、コメディカルも含めた全ての職種を対象としています。

     ほかにも、当院では、救急総合診療部、小児科、初期研修医、コメディカルにおいて夜勤のシフト勤務化を実現しています。シフト勤務が難しいケースであっても、可能な限り当直明けの朝に帰宅することができるシフトを取り入れるようにしています。また、医師の業務量を軽減するためのタスクシフトとして、特定行為の研修を終了した看護師、認定・専門看護師などが活躍できる体制を築いています。

 看護師にはPNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)を導入し、先輩看護師とペアで看護にあたる体制を築いています。このPNSは、現場経験のブランクがある潜在看護師の復職をサポートすることが可能です。

 今後、さらに働き方改革を推進するためには、タスクシフトの推進、 AIなどのテクノロジー活用や、従来の働き方を当然としてきた医師の価値観の変革、診療体制の変化など、大きなパラダイムシフトが必要であると考えています。

 診療体制を柔軟に変化させるためには、多職種によるチーム医療の推進も有効でしょう。さらなる医療の標準化や、診療科によっては複数主治医制の採用なども必要になってくると考えています。

 

 沼田 裕一先生の発表後には『診療放射線技師の労働環境~診療放射線技師からみる働き方改革~』、『事務職の視点から見る、働き方改革~労働生産性向上の視点から~』など、多様な視点からの発表が行われ、盛況のうちにメインシンポジウムは幕を閉じました。

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  • 横須賀市立うわまち病院 病院管理者、公益社団法人 地域医療振興協会 副理事長

    沼田 裕一 先生

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