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大阪中央病院 肛門外科における痔瘻の検査・治療

大阪中央病院 肛門外科における痔瘻の検査・治療
齋藤 徹 先生

医療法人伯鳳会 大阪中央病院 外科 特別顧問

齋藤 徹 先生

目次
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が体外に排出されるため、生活に影響が出てくる痔瘻(じろう)。では、痔瘻の治療選択肢にはどのような方法があるのでしょうか。

今回は、大阪中央病院 肛門外科における痔瘻の検査と治療について、同院の特別顧問ならびに肛門外科で診療を行う齋藤 徹(さいとう とおる)先生にお話を伺いました。

痔瘻
イラスト素材提供:PIXTA/素材加工:メディカルノート

あな痔とも呼ばれる痔瘻は、下痢などの便によって細菌が肛門の壁内に入り込み、炎症を引き起こす感染症です。炎症を繰り返すことで、肛門内と外をつなぐの通り道ができ、体外へと膿が排出されます。細菌が侵入した痔瘻の入口を原発口、炎症の中心である膿瘍の部位を原発巣、細菌の出口を2次口と呼びます。

痔瘻を根治するためには、手術する必要があります。

細菌に感染したことによってがたまります。この状態を肛門周囲膿瘍と呼びます。炎症を繰り返すことで、肛門内から外部へ膿の通り道ができ、そこから膿が体外に出てきます。これが痔瘻です。炎症が起きている肛門周囲膿瘍では痛みが生じますが、痔瘻では強い痛みは通常ありません。

触診

触診は指で直接触れて診断を行う痔瘻の基本的な検査です。

超音波検査

専用の装置を肛門の皮膚に押し当てて、または肛門内に挿入して痔瘻の状態を見る検査です。ただし、皮下脂肪などによって見えにくい場合もあります。

CT検査

CT検査は痔瘻の診断に有効な検査ですが、X線を用いて画像を撮影するため被爆について考慮しなければなりません。

MRI検査

MRI検査は、炎症・筋肉・脂肪を判別できるように撮影することが可能です。

触診で痔瘻の確定診断ができない場合に、超音波検査・CT検査・MRI検査を行います。触診は、指で直接触れて診断をするため経験の差が出てしまう点が短所といえます。一方、CT検査・MRI検査は画像をもとに診断を行うため、経験や個人差に左右されにくい検査といえます。

痔瘻を根治するためには、手術が必要となります。それ以外の痔瘻の治療としては、薬線療法と呼ばれる治療法が挙げられます。薬線療法とは、腐食剤を染み込ませた糸などを痔瘻に通して炎症を抑える治療法です。薬線療法では痔瘻が根治しない場合があるので、根治を希望する場合には手術が必要となってきます。

なお、細菌が肛門内に侵入後に体外に排出されず、限局して炎症を起こしている状態を肛門周囲膿瘍と呼びます。この段階では、切開してたまっているを取り除く治療を行います。

裂肛から生じた極めて浅い一部の痔瘻を除き、通常痔瘻は自然には治りませんから、低位筋間痔瘻などの浅い痔瘻の場合には患者さんが治療したいと思ったタイミングで手術を受ければよいでしょう。ただし、痔瘻による炎症が長期間にわたる場合は手術のリスクが高いと考えられます。そのため、坐骨直腸窩瘍や骨盤直腸窩膿瘍といった深い痔瘻の場合には、早めに手術を受けることをおすすめします。

痔瘻の手術では、細菌が侵入した痔瘻の入口である原発口と、炎症の中心で膿瘍の部位である原発巣を治すというのが大原則です。

以下に当科で実施している痔瘻の手術についてお話しします。

開放術式

開放術式は、原発口と原発巣を一括して切除する術式です。切除する際に深く筋肉を切ってしまうと肛門の機能に影響が出ます。そのため、当科では浅い痔瘻である低位筋間痔瘻であり、なおかつ内肛門括約筋の締まりが強く肛門が狭くなっている場合に検討します。

肛門括約筋温存手術

肛門括約筋温存手術には、複数の方法があります。いずれの方法でも、肛門括約筋に触らないように原発口と2次口から膿の通り道を切除し、最後に原発口を肛門側から縫います。肛門括約筋を極力触らないようにするため、肛門括約筋の機能を温存することが可能です。

肛門括約筋温存手術は腰椎麻酔(ようついますい)を使用するため、手術する場合には入院が必要となります。

シートン法

原発口から原発巣を切除した部位(通常、内肛門括約筋の外縁)までゴムを通して縛り、そこから2次口までの道は切除します。体はゴムを異物と認識するため、体外へとゴムを押し出そうとします。2~3か月とゆっくりと時間をかけてゴムを体外に押し出しながら、肛門括約筋や膿の通り道を切っていきます。このような手術であるため、肛門括約筋温存手術に近い形で機能を温存できる手術といえるでしょう。

シートン法は、痔瘻の進行度によっては局所麻酔で行うため、日帰りでの手術も可能です。

当科では、痔瘻の状態や手術後の生活のご希望などによって治療方針を決めていきます。特に肛門括約筋温存手術かシートン法かは、痔瘻の状態や年齢、入院希望の有無などによって患者さんに適した方法をすすめています。

手術後、傷が治っていく過程で、不良肉芽となって腫れてしまうことがあります。再発と不良肉芽で現れる症状が似ているため、手術後に腫れを生じた場合には両方の可能性があることを事前に知っておいていただければと思います。

お示ししたように、深い痔瘻の場合には早めに治療を受けることをおすすめします。ですが、浅い痔瘻か深い痔瘻かはご自身では判断できませんから、痔瘻の症状が見られた場合には一度肛門外科を受診したほうがよいでしょう。

38℃以上の発熱がある場合には、深い痔瘻である坐骨直腸窩瘍や骨盤直腸窩膿瘍の場合もあります。感染が拡大している状況から、高熱が出たら新型コロナウイルス感染症と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、痔瘻の可能性もあります。いずれにしても、高熱が出た際には速やかに病院を受診していただければと思います。

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