重症急性呼吸器症候群(SARS)とは、2002年11月に中国において発生し、世界各国に感染が拡大した感染症です。WHOが2003年7月に終息宣言を出すまでに確認された感染者は、中国、台湾、シンガポールなどを中心に約8,000人、その中の約800人が亡くなったと報告されています。
また、SARSの原因はSARSコロナウイルス(SARS-CoV)であり、飛沫感染や糞口感染を含む接触感染が主な感染経路であるといわれています。
現在SARSの流行は終息していますが、再流行する可能性はゼロではありません。そこで、ワクチンはあるのかどうかや予防法などについて詳しく解説します。
SARSの原因はコロナウイルスの一種であるSARSコロナウイルス(SARS-CoV)の感染です。2019年末にCOVID-19が世界的に流行したことでコロナウイルスという言葉が一般に広く知られるようになりましたが、“コロナウイルス”は主に風邪などを引き起こすことがあるウイルスの総称であり、その1つとしてSARSコロナウイルス(SARS-CoV)やCOVID-19があります。SARSコロナウイルスは重症肺炎を引き起こすウイルスであり、コウモリから人に感染したことがSARSの始まりだと考えられています。
また、2003年7月にWHOから終息宣言が出されて以来流行はしていませんが、今後の再流行の可能性もゼロではありません。さらに、ウイルス性の感染症の予防として有効な手段にワクチンがありますが、SARSコロナウイルスのワクチンは現状未完成です。
ワクチンの開発には年単位の時間がかかることが一般的で、SARSのワクチンに関しても研究や開発は行われているものの、動物実験などによって有効性や安全性を確認するなどさまざまな試験や検討を重ねる必要があり、実用化はされていません。また、コロナウイルスは変異しやすいため、ワクチンや治療薬を開発するうえでの課題となっています。
なお、SARS流行の際は原因となる病原体を特定するためWHOを中心に各国が協力し、感染者の隔離や検疫(海外からの入国者の検査など)が行われました。ワクチンや根治療法はありませんが、こうした基本的な感染症対策効果を講じた結果、SARSは終息したと考えられます。
SARSには予防のためのワクチンがないため、日常生活の中で自主的に予防を行うことが大切となります。SARSの予防法は一般的な風邪の予防と同様で、手洗いなどの基本的な衛生に気を付ける、マスクを着用する、日ごろから免疫力をつけるようにすることなどを心がけるとよいでしょう。
また、前述のとおり、SARSの感染経路は飛沫感染のほか、体液や感染者の排泄物などからの接触感染であるため、そういったものに触れない、触れた場合はすぐに手を洗う、自身に咳やくしゃみの症状がある場合も他者への感染防止の観点からマスクをつけるといった行動が必要です。
さらに、手指などの消毒には消毒用エタノールが、排泄物などの消毒には0.1~1%程度の濃度の次亜塩素酸ナトリウムなども有効とされています。
SARSは現在終息していますが、新たな感染症が発生する可能性や再流行する可能性はゼロではありません。感染症が流行した場合には、感染が発生・流行している地域に行かない、不必要に感染者が集まる医療機関に行かない、不用意に野生動物に接触しない(SARSウイルスを保有している可能性があるため)などの徹底が必要です。
さらに、前述した手洗いやマスクの着用などの基本的な予防法を徹底するとよいでしょう。また、SARSの症状は発熱、咳、呼吸困難、下痢などであり、インフルエンザに似た症状が出ることもあるため、そのような症状が見られる場合は医療機関の受診を検討するとよいでしょう。
グローバルヘルスケアクリニック/内科・感染症内科・小児科・アレルギー科・トラベルクリニック 院長
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