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未破裂脳動脈瘤とは? 早期発見のためにできること

未破裂脳動脈瘤とは? 早期発見のためにできること
近藤 竜史 先生

埼玉石心会病院 低侵襲脳神経センターセンター長/脳血管内治療科診療科長

近藤 竜史 先生

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脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)は、脳の血管に発生する膨らみです。瘤が破裂する前段階のものを未破裂脳動脈瘤、破裂したものを破裂脳動脈瘤と呼びます。一部の未破裂脳動脈瘤は膨らみが大きくなるにつれて血管壁が薄くなり、やがて血圧に耐えられなくなって破裂し、くも膜下出血を引き起こすことがあります。このため、症状がなくても脳ドックなどの検査を受けて状態をチェックしておくことが大切です。今回は未破裂脳動脈瘤に関するさまざまな疑問に関して、埼玉石心会病院 低侵襲(ていしんしゅう)脳神経(のうしんけい)センターセンター長/脳血管内治療科診療科長の近藤 竜史(こんどう りゅうし)先生にお答えいただきました。

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心臓から送り出されたキレイな血液(酸素と栄養を豊富に含む)を脳に運ぶ血管が脳動脈です。脳にはたくさんの血液が必要であり、脳動脈はたくさんの分岐をくり返しながら脳に分布しています。脳動脈の枝分かれ部分は、長年血圧に耐えているうちに壁が薄くなり、徐々に膨らんで瘤状になることがあります。これが脳動脈瘤です。脳動脈瘤は、ある日突然生じるのではなく、長い時間をかけて発生し成長するわけです。

脳動脈瘤は成人の2~6%で発見されるといわれています。両親や兄弟姉妹が脳動脈瘤にかかった人は、自身も脳動脈瘤を持っている可能性が高いことが分かっています。

脳動脈瘤は、破裂していない“未破裂脳動脈瘤”と破裂してしまった“破裂脳動脈瘤”に分けられます。多くの脳動脈瘤は未破裂のまま成長が止まって安定し、破裂することなく(未破裂脳動脈瘤のまま)一生経過します。しかし、一部の未破裂脳動脈瘤は成長するうちにさらに壁が薄くなって破れ(破裂脳動脈瘤)、くも膜下出血を起こします。くも膜下出血はほとんどの場合前兆なしに突然起こり、死亡率が非常に高い病気です。また、命は助かっても重大な後遺症が残ることが多く、発症前と同じ状態に回復できる人は、くも膜下出血を起こした人の約25%とされています。

つまり脳動脈瘤は「一生何事もないことが多いが、いったん破裂すると人生を破壊し得る病気」だといえます。このことが未破裂脳動脈瘤の治療選択を難しくしている最大の要因です(治療選択については、こちらのページで詳しく述べます)。

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未破裂脳動脈瘤の破裂率は、瘤の大きさ・形・場所などによって違いがあり、一概にはいえません。大雑把にまとめると、大きくて形がいびつなほど破裂しやすいといえます。日本人の患者さんを対象に未破裂脳動脈瘤の破裂率を観察した研究(UCAS-Japan)では、脳動脈瘤の年間破裂率は、大きさが5~6mmで0.50%/年、7~9mmで1.69%/年、10~24mmで4.37%/年、25mm以上で33.40%/年と報告されています。ただし、この年間破裂率は脳動脈瘤の場所や形によっても大きく左右されるので、実際の予測破裂率はそれぞれの脳動脈瘤について仔細に検討する必要があります。

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MRAのイメージ画像(画像提供:PIXTA)

脳動脈の見つかり方は大まかに2通りです。くも膜下出血を起こして病院に運ばれて見つかる場合(破裂脳動脈瘤)と、破裂する前に偶然受けた検査で見つかる場合(未破裂脳動脈瘤)です。くも膜下出血は非常に死亡率の高い病気ですので、未破裂の状態で発見されるのが最良ですが、脳動脈瘤は頭蓋骨(ずがいこつ)の中にあるので通常の健康診断やレントゲン断層写真(CT検査)では見つかりません。 MRI、それも、脳の血管を立体的に画像化するMRAという検査をする必要があります。日本は諸外国に比べてMRI装置(MRIとMRAを撮影する機械)の普及率が極めて高く、かつ、国民皆保険制度のおかげで医療費の自己負担額が安いので、軽微な症状(軽い頭痛めまい)でもMRIを撮影することができます。また、多くの場合、MRAもMRIとセットで撮影されます。未破裂脳動脈瘤の多くは、このような“くも膜下出血とは無関係な頭部症状”に対するMRI・MRA検査で偶然見つかります。

MRI・MRAを撮影する根拠となる症状がない場合は、保険診療でMRIを受けることはできません。「無症状だけど、脳動脈瘤があるかどうかチェックしたい」場合は、自費で脳ドックを受ける方法があります。脳ドックの内容と費用は各病院で異なりますが、多くの場合MRIとMRAが含まれており、費用は数万円(だいたい5万円以内)です。脳動脈瘤がないことを1度確認しておけば数年間は再検査の必要がないことを考えると、費用はかかりますが安心です。気になる方はお近くで脳ドックを受けられる病院をチェックしてみましょう。特に、親族にくも膜下出血や未破裂脳動脈瘤の患者さんがいる場合は、1度脳ドックを受けることをおすすめします。

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