種類
がん薬物療法は使われる薬のタイプによっていくつかの種類に分類されます。
化学療法(抗がん剤治療)
いわゆる従来の“抗がん剤治療”と呼ばれる治療で、細胞障害性抗がん薬というタイプの薬を使用します。細胞が増殖するメカニズムにはたらきかけることでがん細胞の増殖を抑える効果がありますが、正常な細胞にも影響を及ぼすことで、さまざまな副作用が見られることがあります。
分子標的療法
がん細胞に特徴的に見られるタンパク質などにはたらきかける“分子標的薬”と呼ばれるタイプの薬を用いる治療です。細胞障害性抗がん薬よりも選択的にがん細胞へダメージを与えられるため、正常な細胞を傷つけることによる副作用が軽減しながら、より高い効果を期待することができます。
ただし、副作用がまったく出ないわけではなく、細胞障害性抗がん剤とは異なる副作用に注意する必要があります。また、分子標的薬が標的とする分子があるかどうかで治療効果を予測できることがあるため、治療を行う前に検査を行って、その分子標的治療を行うのが適切かどうかを調べることがあります。
内分泌療法(ホルモン療法)
男性ホルモンや女性ホルモンといった、ホルモンの分泌やはたらきをコントロールする薬を用いる治療です。乳がんや前立腺がんなど、がんの増殖にホルモンが関わっているがんに対して行われることがあります。
副作用として、ホットフラッシュと呼ばれるほてりの症状や、生殖器の症状などが現れやすいことが特徴です。
免疫療法
免疫療法とは自分自身が持つ免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法のことです。現在、日本の保険診療で使える免疫療法の1つに、免疫チェックポイント阻害薬を使った薬物治療があります。
免疫には発生したがん細胞を排除するはたらきがあり、免疫のはたらきによってがんが増殖しないように守られています。しかし、がん患者さんは、がんを攻撃するT細胞にがん細胞が結合することで免疫にブレーキをかけた状態になっていることがあります。“免疫チェックポイント阻害薬”は、がん細胞による免疫機能へのブレーキを外す効果があり、自分自身の免疫ががんを攻撃する力を取り戻すことができます。
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