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がんやくぶつりょうほう

がん薬物療法

最終更新日
2021年08月24日
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2021/08/24
掲載しました。

概要

がん薬物療法とは、薬を使ったがんの治療のことです。使われる薬の種類によって化学療法(抗がん剤治療)、分子標的療法、内分泌療法(ホルモン療法)、免疫療法と呼び分けられることもあります。

がん薬物療法では、これらの中から1種類または複数種類の薬を使って、がんの治癒、がんの進行抑制、がんによる症状の緩和などを目指します。また、薬物療法以外の手術や放射線治療と併用することもあります。

目的・効果

がん薬物療法の目的は、がんの種類や進行度などによって異なり、がんの治癒または進行抑制、がんによる症状の緩和などがあります。がんの治療には薬物療法のほかにも手術や放射線治療といったものがありますが、薬物療法の大きな特徴は全身のがん細胞に効果があるということです。

根治手術の前後に、遠隔転移を防ぐために薬物療法を行うことがあり、周術期薬物療法と呼ばれます。また、白血病などの血液のがんでは、薬物療法だけで治癒を目指すこともできます。

がんの治療は薬物療法単独で行われることもあれば、手術や放射線治療などほかの治療と組み合わせながら行われることもあります。どのようなときにどのような治療を行うかはがんの種類別にガイドラインが作られており、標準治療と呼ばれる科学的に有効性が証明された適切な治療が選択されます。

種類

がん薬物療法は使われる薬のタイプによっていくつかの種類に分類されます。

化学療法(抗がん剤治療)

いわゆる従来の“抗がん剤治療”と呼ばれる治療で、細胞障害性抗がん薬というタイプの薬を使用します。細胞が増殖するメカニズムにはたらきかけることでがん細胞の増殖を抑える効果がありますが、正常な細胞にも影響を及ぼすことで、さまざまな副作用が見られることがあります。

分子標的療法

がん細胞に特徴的に見られるタンパク質などにはたらきかける“分子標的薬”と呼ばれるタイプの薬を用いる治療です。細胞障害性抗がん薬よりも選択的にがん細胞へダメージを与えられるため、正常な細胞を傷つけることによる副作用が軽減しながら、より高い効果を期待することができます。

ただし、副作用がまったく出ないわけではなく、細胞障害性抗がん剤とは異なる副作用に注意する必要があります。また、分子標的薬が標的とする分子があるかどうかで治療効果を予測できることがあるため、治療を行う前に検査を行って、その分子標的治療を行うのが適切かどうかを調べることがあります。

内分泌療法(ホルモン療法)

男性ホルモンや女性ホルモンといった、ホルモンの分泌やはたらきをコントロールする薬を用いる治療です。乳がん前立腺がんなど、がんの増殖にホルモンが関わっているがんに対して行われることがあります。

副作用として、ホットフラッシュと呼ばれるほてりの症状や、生殖器の症状などが現れやすいことが特徴です。

免疫療法

免疫療法とは自分自身が持つ免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法のことです。現在、日本の保険診療で使える免疫療法の1つに、免疫チェックポイント阻害薬を使った薬物治療があります。

免疫には発生したがん細胞を排除するはたらきがあり、免疫のはたらきによってがんが増殖しないように守られています。しかし、がん患者さんは、がんを攻撃するT細胞にがん細胞が結合することで免疫にブレーキをかけた状態になっていることがあります。“免疫チェックポイント阻害薬”は、がん細胞による免疫機能へのブレーキを外す効果があり、自分自身の免疫ががんを攻撃する力を取り戻すことができます。

リスク

症状や程度は異なるものの、どのような薬でも副作用が現れる場合があります。

たとえば従来の抗がん剤では、分裂が盛んな細胞が障害を受けることで、骨髄抑制(白血球減少、貧血、血小板減少など)、脱毛、下痢、嘔吐、口内炎などの副作用が現れやすくなります。

分子標的療法では“インフュージョンリアクション”と呼ばれるアレルギー症状や、分子標的療法がターゲットとするタンパク質などのはたらきに応じた副作用が現れることがあります。ホルモン療法では、ホルモンのはたらきが抑えられることでホットフラッシュと呼ばれる更年期症状に似た症状や、生殖器の症状などが現れやすくなります。免疫療法ではブレーキが外れた免疫が正常な細胞も攻撃してしまい、さまざまな副作用が現れることがあります。

このように薬によって現れやすい副作用の傾向はあるものの、個人差が大きく全ての人に発現するとは限りません。しかし、なかには生活に影響を及ぼす副作用もあることから、治療を始める際は現れやすい副作用やその対処法についてよく理解しておく必要があります。

適応

どの薬が使われるかは、がんの種類、がんの状態(進行度)、分子標的薬が標的とする分子の有無、患者背景などによって異なります。

一般的にはがんの種類別に作成されたガイドラインに準じて、患者さんの希望も踏まえながら決定されます。

治療の経過

がん薬物療法は外来で行うことが多いですが、患者さんの状態や治療法のスケジュールによっては入院で行う場合もあります。

治療薬の投与スケジュールは非常に多様で、数週間ごとの投与を繰り返すものや、一定期間毎日投与を続け、その後休薬するものなどさまざまなものがあります。また、投与方法は注射・点滴や内服が一般的ですが、がんに直接薬を注入する方法や腹腔(ふくくう)髄腔(ずいくう)、膀胱内などに薬を注入する方法もあります。

がんの治療に用いられる薬の多くは何らかの副作用が現れます。がん薬物療法を行うときは、がんの治療薬とともに副作用を和らげるための治療(支持療法)も行います。副作用は現れやすい症状や時期がある程度分かっているため、治療期間中は患者さん自身が副作用の発現に注意するとともに、検査でしか分からないものを発見するために定期的な血液検査などを行います。

治療中は、症状の変化や画像検査などで治療効果が得られているかを調べます。その結果、治療効果が見られる場合は同じ治療を続け、治療効果が得られない場合はほかの治療薬に変更したり薬物療法を中止したりします。

費用の目安

がん薬物療法の費用は、使用する薬の種類や量によって大きく異なります。また、抗がん剤の多くは患者さんの身長や体重に応じて使用する量を細かく調整する必要があるため、同じがんに対して同じ薬を使う場合であっても、人によって費用が異なります。

抗がん剤の中には高額なものもありますが、ひと月当たりの医療費が高額になる場合は高額療養費制度と呼ばれる制度を利用することで負担を抑えることができます。

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