インタビュー

アレルギー性結膜炎の症状と診断-目のかゆみが主な症状

アレルギー性結膜炎の症状と診断-目のかゆみが主な症状
海老原 伸行 先生

順天堂大学医学部附属浦安病院 眼科教授

海老原 伸行 先生

この記事の最終更新は2016年04月25日です。

アレルギー性結膜炎の主な症状は目のかゆみです。目のかゆみは生活の質(QOL)に影響しますので、つらい場合には病院への受診が勧められます。本記事では、アレルギー性結膜炎の症状と診断について、順天堂大学医学部附属浦安病院眼科 教授 海老原伸行先生にお話しいただきました。

アレルギー性結膜炎の主な症状は次のとおりです。

  • 目のかゆみ
  • 目の充血
  • 目の異物感
  • 目やにが出る:アレルギー性の炎症が起こるとムチンと呼ばれる分泌物が増え、その分泌物が目やにになります。
  • 涙が出る

目のかゆみはアレルギー性結膜炎のほとんどの患者さんにあらわれる症状です。放置しておくと目が悪くなるということはありませんが、夜眠れない、集中力がなくなるなどのQOL(生活の質)を落とす原因にもなります。また、かけばかくほど結膜のバリアが壊れてしまい、さらに抗原(アレルゲン)が入りこんでかゆみを悪化させるため、過度にかくのはお勧めできません。

一般的には、通年性と季節性のアレルギー性結膜炎の症状には差がありません。ただし、通年性のアレルギー性結膜炎は1年を通して炎症が持続するため、他覚所見(医師などの患者以外の人間が客観的にとらえることのできる症状)では結膜の濾胞や乳頭などが多い傾向にあります。症状の重症度は通年性・季節性で差はなく、個人によってさまざまです。

アレルギー反応が起こると、結膜にある肥満細胞とよばれる細胞から「ヒスタミン」などの物質が大量に放出されます。これらの物質は目の知覚神経や毛細血管などを刺激します。その結果、強いかゆみや目の充血などを引き起こします。

アレルギー性結膜炎は、自覚症状と他覚所見(医師の視診でわかること)で80%は診断が可能です。自覚症状はかゆみや目の異物感などです。他覚所見では、結膜の充血や浮腫、濾胞(魚の卵のようなリンパ球の集まり)、乳頭(球状に突起している新しい血管組織)の有無を確認します。そのほか、既往歴(毎年同じ時期になると症状があらわれるなど)も診断の際に重要となります。

症状が軽く特徴的な所見が出ていない場合や細菌性の結膜炎ウイルスによる流行性角結膜炎などの鑑別が難しいケースは、自覚症状と他覚所見だけでは診断が難しいことがあります。その場合は次のような検査を行います。

血液の中のIgE抗体の量を調べます。人間のからだは異物を排除するために、その異物に特異的なIgE抗体をつくり排除しようとします。つまり、スギ花粉にさらされると、スギ花粉にアレルギーがある方の体内にはスギ花粉に特異的なIgE抗体が増えることになります。血液検査では、IgE抗体の有無や数量を測定します。

血液検査と同様に涙のなかのIgE抗体の有無を検査します。確実性は60%程度とそこまで高くありませんので、補助診断として用いる場合があります。

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