うぃーばーしょうこうぐん

ウィーバー症候群

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概要

ウィーバー症候群とは、身体の成長が異常に早いことで特徴付けられる先天性遺伝性疾患です。成長の早さは胎児期の頃から認め、出生後も持続します。そのほかの症状として、強い筋緊張、関節拘縮(かんせつこうしゅく)を起こしたり、運動・精神・発達・成長で異常を示したりします。ウィーバー症候群の子どもは、泣き声が低いという特徴も呈します。

日本でウィーバー症候群は、難病および小児慢性特定疾病に指定されています。その頻度は正確な報告はありませんが、全世界で100例未満ほどと推定されています(2019年時点)。生命予後自体は合併症の程度により、症状に合わせた治療や対症療法が行われます。

原因

ウィーバー症候群の原因は、EZH2と呼ばれる遺伝子の異常により引き起こされると考えられています。EZH2遺伝子は、幹細胞の維持と細胞分化誘導をする酵素に関与しています。

ウィーバー症候群の発症は、家族例で複数名がみられることは少なく、孤発例であることがほとんどです。遺伝形式は「常染色体優性遺伝」で、半数の確率で親からお子さんが同様の病気を発症することになります。

症状

ウィーバー症候群の症状の特徴は、出生前から指摘することができる「成長の早さ」です。身長や体重は同年代のお子さんと比較しても大きく、見た目の成長の早さと関連して、骨の成長も早いです。筋緊張が亢進(こうしん)するお子さんも多く、関節の変形につながります。関節の変形は、指先や脊柱にも見られることになります。

指にも特徴が生じることが知られており、常時指が曲がっている状態になります。指の腹も大きく突出しており、爪の生え際も通常よりも深く、爪が薄い傾向があります。

そのほか、後頭部は平坦であり、大きな耳、長い鼻中、眼間開離を伴う特徴的な顔貌を伴います。さらに、短頭を伴う大頭症、低い泣き声、小顎症(しょうがくしょう)(あご)と下唇の間に水平な皺も特徴です。

以上のような外見上の特徴以外に、精神発達の遅れをみることもあります。また、脳の構造にも異常をきたすことがあり、てんかんを発症することもあります。先天性心疾患を合併することもあります。臍帯(さいたい)ヘルニアや悪性腫瘍(しゅよう)(代表的には神経芽細胞腫)を合併もしくは続発することがあることも知られています。

検査・診断

ウィーバー症候群の診断は、成長が早いことなどをきっかけに、典型的な症状で診断されます。特に重要な臨床症状は、身体の成長が早い、骨の成長が早い、顔貌・頭の見た目の特徴、精神発達遅滞です。また、診断に際して、EZH2遺伝子の異常を検索するための遺伝子検査が行われることもあります。

脳に関連した構造異常を確認するために、頭部CTや頭部MRIが行われることもあります。てんかんを発症している際には、脳波検査も行います。さらに悪性腫瘍を合併することもあるため、画像検査等が行われることもあります。

また、関節の拘縮(こうしゅく)、骨の変形を見ることがあるため、レントゲン写真が行われることもあります。

治療

ウィーバー症候群に対しての根本的な治療方法は存在しません。発症する症状に合わせた治療が適宜(てきぎ)行われることになります。精神発達遅滞については、理学・作業・言語療法を行います。屈指、関節拘縮、側弯(そくわん)については、整形外科的な治療を考慮します。てんかんを発症することもあるため、その場合には、てんかんのタイプに応じた抗てんかん薬が適応になります。悪性腫瘍を合併した際には、病気の種類、病状の進行程度に応じて適宜化学療法、放射線療法、手術などが検討されることになります。

ウィーバー症候群の生命予後は、合併症の程度によります。遺伝性疾患の側面を持つ病気でもあるため、遺伝カウンセリングの介入が必要となることもあります。