概要
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群とは、四肢に血管腫が形成され、骨や筋肉などが大きくなる病気です。この病気は、日本においては難病指定を受けており、遺伝子の異常により発症します。この病気の根本的な治療方法は存在せず、手足のむくみを改善させる、といった対症療法が治療の中心になります。
原因
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は、PIK3CAと呼ばれる遺伝子に異常が生じることで発症します。PIK3CA遺伝子は、細胞が増えたり、適切な場所に移動したりするためだけでなく、細胞が生きるために重要な役割を果たす遺伝子です。
この遺伝子に異常をきたすことで、細胞の増殖に制御がかからなくなってしまい、主には血管や骨、筋肉などが異常に増殖するようになってしまいます。
また、この病気の原因となる遺伝子異常は突然変異的に生じるため、遺伝することは多くはありません。
症状
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は、出生時に四肢が不均一に太く肥大していることで気付かれます。「ポートワイン母斑」と呼ばれる赤あざの一種を皮膚に見ることもあります。
また、この病気では、血管系に異常を示すことがあります。具体的には、表面から蛇行した太い静脈をみることがあります。また、リンパ管と呼ばれる免疫に関わる脈管系にも異常を示すことがあり、液体成分がしみ出すことで手足がむくむこともあります。さらに、小さな傷をきっかけとして感染症をきたしやすくなります。そのほか、心不全をきたすこともあります。
また、骨や筋肉などの軟部組織が異常に肥大したり、手足が不均一に長くなったり、指が癒合する・過剰な指が形成されたりすることもあります。筋骨格系に異常を呈することと関連して、うまく歩けない、姿勢が悪くなる、などの症状につながることもあります。
検査・診断
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は、産まれて間もなくしてみられる四肢の肥大や、「ポートワイン母斑」と呼ばれる赤あざから疑われます。
この病気では、超音波検査、CT検査、MRI検査、血管造影検査などの画像検査が行われます。また、病理検査が行われます。病理検査(生検)とは、病変の一部を採取して顕微鏡で観察する検査です。
治療
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群の根本的な治療方法は存在せず、対症療法が中心になります。手足のむくみを改善させるために、手足を動かす理学療法を取り入れることがあります。また、弾性包帯を使用することなどにより、局所を圧迫して浮腫を改善させることもあります。脈管系の異常に対応するために、硬化療法や塞栓術を行うこともあります。
また、この病気では手足の長さが異なることもあり、装具の使用や手術などの処置をとることがあります。
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群では、体重コントロールを行う、皮膚の感染症に気をつける、皮膚の清潔・保湿を心がける、などの対応も大切です。根本的な治療方法が存在しない疾患であるため、診療に長けた医療機関を受診し、適切な生活スタイルを確立することも大切であるといえます。
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クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
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