治療
デスモイド型線維腫症の約半数は治療をしなくても腫瘍が大きくなりません。なかには自然に小さくなったり消失したりすることもあります。このため近年では、発見された時点では症状がなく、画像検査で周辺臓器・組織に影響を与える可能性が少ない場合、治療を行わずに経過観察を続けていくことが治療の第一選択とされています。
一方で、発見された時点ですでに症状がある場合や、腫瘍が増大することで気管や腸管などの重要な器官にダメージを与える可能性が考えられる場合には、切除手術も考慮されます。ただし、切除後の局所再発率が極めて高いことが知られています。
また、腫瘍の縮小や進行抑制のために薬物療法が行われることもあります。主な薬物治療は鎮痛剤のCOX-2阻害薬、抗エストロゲン薬によるホルモン療法、抗がん剤治療などです。抗がん剤治療としては、メトトレキサートとビンブラスチンの併用療法やドキソルビシンが用いられます。近年では、ソラフェニブやパゾパニブなどの血管新生阻害作用を有する分子標的薬が有効であるとも報告されており、効果が期待されています。
さらに、全身状態が不良で手術や薬物療法が困難な場合には、放射線治療も考慮されます。デスモイド型線維腫症の治療は極めて専門性の高い領域であり、治療選択には慎重を期することから専門医の下で治療することが望まれます。
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