概要
バーキットリンパ腫とは、Bリンパ球と呼ばれる血液の細胞を起源として生じる悪性リンパ腫です。子どもや若い成人に多く、特に男性に多くみられる傾向があります。
バーキットリンパ腫は、EBウイルスと呼ばれるウイルス感染などが原因で発症すると考えられています。病気の進行は非常に早く、顎の腫れ、嘔吐や腹痛、貧血、頭痛などの症状が生じる可能性があるほか、適切な治療を行わないと命に関わる可能性があるため、化学療法を中心とした治療を行う必要があります。
原因
バーキットリンパ腫は、EBウイルスに感染することなどによって発症します。
EBウイルスは唾液中に含まれ、ウイルスを保有する人の唾液を介して感染が成立します。EBウイルスは日本人の90%以上の成人が感染しているウイルスで、多くは3歳までに親から感染するといわれています。
また、極めてまれですが、EBウイルスがBリンパ球に感染することでBリンパ球が腫瘍化して、バーキットリンパ腫を発症することもあります。
しかし、MYC遺伝子、P53遺伝子などに何かしらの異常が生じたり、HIV感染や臓器移植などによって、EBウイルスに感染していなくてもバーキットリンパ腫を発症することもあります。
症状
バーキットリンパ腫では、全身の各部位で腫瘤が形成されます。
体表から分かる例としては、顎の周囲が大きく腫れることがあります。消化管内や臓器の中にも病変が広がることがあり、倦怠感やお腹の痛み、吐き気・嘔吐、出血などの症状がみられることがあります。また、骨髄や中枢神経系に病変が広がり、貧血による顔色の悪さ、動悸、疲れやすさ、頭痛やしびれ、手足の動かしにくさなどの症状が生じることもあります。
患者によってみられる症状は異なりますが、病変は急激なスピードで広がるため早期に治療を開始する必要があります。
検査・診断
バーキットリンパ腫が疑われる場合、画像検査や病理検査などを行います。
画像検査では、超音波検査やX線検査、CT検査、MRI検査、骨シンチなどを行い、どの部位に病変があるか確認します。骨髄や髄液中に病変が広がることもあるため、必要に応じて骨髄穿刺(腰骨に針を差し、骨の中にある骨髄を採取します)や、髄液検査(背中に針を刺し、髄液を採取します)を行ったり、病変を採取して顕微鏡で観察する病理検査も行われます。
治療
シクロホスファミドやシタラビン、メトトレキサート、リツキシマブなどの薬を用いて腫瘍細胞の根絶を目指します。また、自家末梢血幹細胞移植が選択されることもあります。
自家末梢血幹細胞移植とは、あらかじめ患者自身から未熟な血液細胞を採取して凍結保存しておき、大量化学療法の後に再び患者の体内に移植する治療法です。造血幹細胞は化学療法により影響を受けやすいといわれていますが、自家末梢血幹細胞移植を併用することにより通常よりも強力な化学療法を行うことができます。
バーキットリンパ腫は進行が非常に早いため、適切な治療を早期に受けることがとても大切です。
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