ファロー四徴症は心臓の変形が進行する前に手術を行う必要があります。現在では人工心肺を使った心停止下手術などの進歩により、生後6カ月~2歳前後の乳児に対してBTシャントを介さずに根治手術をすることが標準的な治療となっています。国立循環器病研究センター小児心臓外科部長の市川肇先生に、乳児期の治療法についてお話を伺いました。
ファロー四徴症では、肺動脈に流れるはずの酸素量の少ない静脈血が肺動脈狭窄により逆流し、心室中隔欠損の孔を通じて右心室から左心室を経由して大動脈へ流れ込んでしまうため、動脈血中の酸素量が低下しチアノーゼを発生させます。また、左心室に流れ込む血液量が少ないので左心室が大きくなれず、体の大きさに相応するサイズより小さくなってしまっています。
ファロー四徴症の心臓を正常な血液の流れを持った心臓にするためには、心室中隔の欠損部分の孔を閉じ、右心室から肺動脈への狭い部分を修復することが必要です。
ただ、細くなった肺動脈から小さくなった左心室への血流を急に元に戻すと、負担がかかってしまいます。そこで馴らしの期間を作るため、一旦BTシャントをして肺血流を増加させ、肺動脈が太く、左心室が大きくなるのを待ってから根治手術を行うのが、かつての一般的な治療法でした。
しかしファロー四徴症の子どもは、時間が経てば経つほど肺動脈狭窄・心室中隔欠損・右心室肥大が進行していきます。なるべく早い時期に手術をすることができればBTシャントを介さずに済むため、人工心肺を使った心停止下手術の進歩により、新生児~1歳未満の乳児に対してBTシャントを介さず根治手術をすることが可能になってきました。
現在では、早期新生児への心停止下手術のリスクを考慮し、生後6カ月~2歳前後の間に根治手術である心内復手術をすることが多くなっています。
国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 小児心臓外科
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