ふれいるちぇすと

フレイルチェスト

同義語
動揺胸郭,胸郭動揺
最終更新日:
2024年02月01日
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2024/02/01
更新しました
2017/04/25
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概要

フレイルチェストとは、交通事故などによって胸骨や2本以上の連なる肋骨(ろっこつ)が複数骨折して胸の構造が不安定になることで、息を吸うと胸の一部がへこみ、吐くと飛び出す“奇異(きい)呼吸”が生じることをいいます。“動揺胸郭(どうようきょうかく)”と呼ばれることもあります。

フレイルチェストが生じると、胸の骨格・筋肉・皮膚などからなる胸壁の一部が他の胸壁から分離し、呼吸のたびに分離した一部の胸壁が他の胸壁と反対側に動きます。フレイルチェストを生じやすい部位は胸部の前側で、上部よりも下部に起こりやすいといわれています。

肋骨を骨折すると強い痛みが生じ、一般的には特に深い呼吸をしたときに痛みが増します。フレイルチェストを合併すると、呼吸がしづらくなり命に関わることもあります。また、フレイルチェストが起こるほど大きな衝撃を受けた場合、肺にも障害が及んでいる可能性が高く、肺挫傷(はいざしょう)*などの合併症も考慮する必要があります。

*肺挫傷:肺の組織が傷ついた状態を指す。胸の痛みや息切れなどの症状が現れる場合がある。

原因

フレイルチェストは、外部からの衝撃による胸骨や複数の肋骨の骨折が原因で生じます。胸骨や肋骨骨折は日本ではよくみられる胸部のけがで、交通事故やスポーツなどで胸に強い衝撃が加わることで起こります。

症状

フレイルチェストでは、胸骨・肋骨の骨折に伴う痛みや呼吸困難などが現れます。痛みは深い呼吸をしたときにより強くなるため、必然的に呼吸が浅くなりやすく、無気肺肺炎などの合併症が起こりやすくなる可能性があります。

また、フレイルチェストを生じると呼吸に負荷がかかりやすくなるため、呼吸困難などが生じることがあります。肺挫傷を合併していればさらにそのリスクは高まり、低酸素血症や呼吸不全など命に関わる状態に至ることもあります。

検査・診断

胸部の大きなけがが疑われる場合には、診察のほか、胸部X線検査、胸部CT検査などの画像検査を行い、骨や肺の状態、胸全体の様子を確認します。

自発的に呼吸ができている場合は、胸壁の特徴的なへこみ・膨らみを観察できる可能性があります。しかし、痛みが強く呼吸が浅い場合や意識障害が生じている場合、機械による人工換気を行っている場合には、目視での確認は困難なため、触診や聴診を行い、“捻髪音(ねんぱつおん)”と呼ばれる独特な音を検出することでフレイルチェストの有無を判断します。

治療

フレイルチェストと肺挫傷を合併している場合は、痛みを和らげるための薬物療法のほか、人工呼吸器などを使い急性呼吸不全に対する治療を行って容体を安定させます。そのうえで、骨折した胸骨や肋骨のずれが大きいときや呼吸不全の症状が続くときには手術を検討します。

骨折のずれが大きい場合は、手術で一般的に折れた骨を元の位置に戻し、金属のプレートなどで固定することもあります。

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