ふれいるちぇすと

フレイルチェスト

縦隔など

目次

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概要

フレイルチェストとは、交通事故などで3本以上の肋骨(ろっこつ)が折れ、正常な呼吸ができなくなる状態です。正常な呼吸は、肋骨と肋間筋(ろっかんきん)がつくる胸郭という円筒状の胸壁が、横隔膜や肋間筋の収縮によって広がること、胸郭が元に戻ることによって維持されています。

フレイルチェストを起こすと、骨折して周囲の部分と連続しなくなってしまった部分(フレイルセグメント)は、息を吸うとへこみ、逆に吐くと盛り上がるといったように、通常とは逆の動きをみせるようになります。このような動きは奇異運動と呼ばれます。奇異運動では、肺にきちんと空気が入らず呼吸障害が起こります。また、運動するたびに骨折した部位が動き、激しい痛みにより、さらに呼吸をすることが難しくなります。

原因

3本以上の肋骨が折れること(多発肋骨骨折)が原因ですが、多発肋骨骨折になると必ずフレイルチェストになるわけではなく、あくまで胸郭との連続性が完全に失われてしまった場合のみ、正常に呼吸ができなくなります。たとえば背中側を骨折している方が仰向けになっていればフレイルセグメントは胸郭に固定されやすくなるため、フレイルチェストになりません。

症状

フレイルチェストをおこすと、呼吸をするたびに激しい痛みが生じるようになります。呼吸障害や激しい痛みによって呼吸が不十分となるため、低酸素血症や高二酸化炭素血症などを合併することもあり、この場合は生命にかかわる危険な状態となります。
 

検査・診断

胸の動きの観察や触診により、呼吸運動が正しく行われているかを確認します。呼吸が浅くて速い場合や、胸部に明らかに異常な動きが認められる場合、SpO2などの酸素飽和度モニターが低い場合には、危険な状態であることが予測されるため、緊急処置が必要となります。緊急の処置が必要ないと判断できれば、胸部CT検査やX線写真撮影などで肋骨骨折がないか確認します。同時に、肺の損傷の程度、気胸や血胸などを合併していないかを検査します。

治療

フレイルセグメントの奇異運動を抑えるために、患部を固定します。救急隊員や現場の人々ができることには、フレイルセグメントにタオルやガーゼを厚くまいたものをあてがってテープで固定することなどが挙げられます。

医療機関では、人工呼吸器を使用して内固定することで、奇異呼吸がおこらないようにします。重症例では、手術で肋骨同士を固定する外固定を実施することもあります。フレイルチェストでは、多発肋骨骨折による痛みを減らすための鎮痛剤を処方することもあります。