はいざしょう

肺挫傷

最終更新日:
2023年11月06日
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2023/11/06
更新しました
2017/04/25
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概要

肺挫傷とは、胸に外部から強い衝撃が加わることにより、肺の組織が損傷した状態です。損傷した肺の組織はうまく酸素を取り込めなくなるため、胸の痛みや息苦しさが生じます。また、損傷範囲が広いと呼吸が不十分になり、血液中の酸素レベルが低下することで命に関わる恐れもあります。

原因

肺挫傷の主な原因は、胸を強く打つことです。たとえば、交通事故や高いところからの転落、物体との間に体を挟まれること、殴る・蹴るなどの強い暴行を受けることなどによって生じます。

症状

軽症の肺挫傷は無症状のケースも少なくありません。また、初期には症状が感じられず、数時間程度かけて現れることもあります。

具体的な症状としては、胸の痛みと息苦しさが挙げられます。胸に痛みが生じるのは、肺を包むようにして存在する胸部の筋肉・肋骨などから成る“胸壁(きょうへき)”が、けがにより損傷しているためです。呼吸をすると胸の痛みも増すため、呼吸自体が困難になります。そのほか、呼吸が速くなったり(頻呼吸)、血痰が出たり、皮膚が紫色に変色する“チアノーゼ”が生じたりする方もいます。

損傷した肺の範囲が広い場合、血液中の酸素レベル低下(低酸素血症)によって意識障害や血圧の低下がみられる方もいます。

検査・診断

症状などから肺挫傷が疑われた場合、胸の聴診や画像検査、動脈ガス分析などを行います。症状が進行することもあるため、これらの検査に併せて手や足の指に取り付けた“パルスオキシメーター”から血中の酸素量を測定し続けます。

また、重度の気胸血胸などの合併症を発症している場合には、ドレナージチューブや手術が必要となることがあります。そのため、検査および診断を行う際に合併症の有無を合わせて確認することが大切です。

画像検査

第一に胸部X線検査が検討されます。肺挫傷は徐々に発症するケースもあるため、必要に応じて複数回胸部X線検査を撮影し、診断を行います。また、肺挫傷だけでなく、気胸や血胸などのさまざまな合併症が生じている可能性がある場合にはCT検査が検討されます。

動脈ガス分析

手首の動脈から針を刺し、採血して行う検査です。主に呼吸困難の症状がある方、低酸素血症の方などに検討されます。

体中に酸素を送る動脈血中の酸素や二酸化炭素レベルを測定のうえ、酸性度(pH)を判定して、肺が酸素をうまく取り込めているかどうか、二酸化炭素を排出できているかどうかなどを確認します。

治療

肺挫傷と診断された場合、まずは安静にして横になり、必要に応じて酸素吸入を行うことが大切です。酸素の取り込みが不十分な方で、酸素吸入を行っても低酸素血症が改善しない場合には、気管にチューブを入れる処置(気管挿管)を行い、人工呼吸管理を行うこともあります。

そのほか、痛み止めの処方や肺理学療法も検討されます。これは、肺の中の空気が抜けて呼吸に障害が起こる“無気肺”の予防に加え、肺挫傷の部位にさらに肺炎が起こらないようにするために大切な治療です。また、気道に詰まった血液や分泌物の排出を促す吸入療法も無気肺の予防につながります。

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