はいざしょう

肺挫傷

肺

目次

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概要

肺挫傷とは、交通外傷などの外力をきっかけとして肺に生じた、いわゆる肺そのものの打撲のことを指します。肺挫傷では、肺の中に出血や血腫が生じます。

また、肋骨の骨折を合併することもあります。症状としては、血痰や胸痛、呼吸困難などが挙げられます。

治療は、肺損傷の程度に応じて決定されます。呼吸障害が軽度で他の臓器損傷がない場合には、痛み止めを使用して胸の痛みを和らげます。呼吸障害が強い場合には、程度に応じて酸素や人工呼吸器の使用なども検討します。

原因

肺挫傷は、主に胸に対する鈍的な外力をきっかけとして生じます。具体的には、交通事故によって胸を強打したり、高いところから転落して胸を打ったりすることなどをきっかけとして生じます。

鈍的な外力により、下記のような状態を同時に合併することもあります。

  • 肋骨などの骨折
  • 気胸:肺がおさまる空間に余分な空気が溜まる状態
  • 血胸:肺がおさまる空間に余分な血液が溜まる状態 

症状

肺挫傷では、血痰や胸の痛み、呼吸のしにくさを自覚するようになります。胸の痛みが原因となって、うまく呼吸ができなくなります。

また、肺挫傷を生じた肺組織の割合が高いと正常な呼吸を行えなくなってしまい、呼吸困難が強くなることがあります。さらに、合併した気胸や血胸の程度によっても胸の痛みや呼吸障害の程度が変わることがあります。

肺以外の臓器も同時に損傷されることがあります。たとえば、多くの肋骨が骨折をすると、フレイルチェストと呼ばれる合併症が生じることがあります。フレイルチェストを生じると、安定した呼吸活動ができなくなり、呼吸不全を起こすことがあります。

さらに、肺挫傷では時間経過とともに肺炎や急性呼吸窮迫症候群と呼ばれる続発症を発症することもあります。これらを発症すると、咳や痰が生じたり、呼吸困難が増悪したりすることがあります。

さまざまな経過をたどる可能性のある肺挫傷ですが、肺損傷の程度が軽い場合には、大きな呼吸障害を呈することなく経過することもあります。

検査・診断

肺挫傷は、胸部単純レントゲン写真やCT検査といった画像検査を用いて診断します。これらの画像検査を行うことで、肺損傷の程度のみならず、血胸や気胸、骨折の状況などを同時に評価することができます。

肺挫傷では、呼吸障害を生じることもあるため、血液検査により、血液中の酸素濃度や二酸化炭素濃度を評価することがあります。また、経過中に生じうる肺炎や急性呼吸窮迫症候群を評価する目的でも、画像検査や血液検査などが行われます。

治療

肺挫傷では、肺損傷の程度に応じて治療方針が決定されます。呼吸障害がさほど強くなく、その他の臓器損傷がない場合には、痛み止めを使用して胸の痛みを和らげます。呼吸障害が強い場合には、程度に応じて酸素や人工呼吸器の使用なども検討します。

肺挫傷は、気胸、血胸などの合併症を伴うこともあります。この場合には、胸に針を刺して空気や血液を抜くドレナージ処置を行うことがあります。

肺挫傷では、重症度や合併症に応じた適切な治療を受けながら、肺の損傷が修復されるのを待つことになります。