治療
ムコ多糖症の治療法はタイプや重症度によって異なりますが、主に次のような治療が行われています。
対症療法
ムコ多糖症では根治療法として以下に挙げる酵素補充療法、骨髄移植がありますが、治療範囲の限界や重篤な副作用などのため完全な治療法とはいえず、さまざまな合併症を改善し生活の質を上げる対症療法が重要な部分を占めます。
具体的には、水頭症に対するシャント手術、角膜混濁に対する角膜移植、心臓弁膜症に対する手術など、それぞれの症状や病状に合わせて治療が適宜行われます。
酵素補充療法
ムコ多糖症Ⅰ型、Ⅱ型、、IV、 VI型に対しては不足、欠損している酵素を補充する治療が行われています。原因となる酵素を点滴により時間をかけて静脈注射することで、病気の進行を抑える効果が期待されています。しかし、治療は毎週受けなければならず、さらに発熱などの副作用が現れることも少なくありません。また、骨の変形や心臓、脳などに対する効果は乏しいとされています。
骨髄移植(造血幹細胞移植)
発症早期では骨髄移植が行われることがあります。これは、血液のもととなる正常な幹細胞が移植されることで、そこから分化するいろいろな細胞が酵素を発現するようになり各臓器に蓄積したムコ多糖を分解する効果が得られると考えられているからです。主にムコ多糖症Ⅰ型とⅡ型で行われ、2歳未満で行われれば中枢神経症状の進行防止にも有効とされますが、効果は症状により差があります。またヒトのほぼ全ての細胞に存在する免疫に関与する組織適合抗原(HLA)の型が合わないと、骨髄提供者の細胞が患者の細胞を攻撃して重大な症状を引き起こす副作用(GVHD)が起こる頻度が高くなります。
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