治療
リンパ管奇形は自然に消滅することや症状が現れないこともあるため、経過観察を行って治療を行わない場合もあります。しかし、見た目が気になる場合や気管を圧迫し呼吸困難などの恐れがある場合は治療を行います。
リンパ管奇形の治療は主に硬化療法、外科手術、内科治療の3つがあり、リンパ管奇形の患部や種類によって適切な治療は異なります。
硬化療法
リンパ嚢胞内部に硬化薬を注射する治療です。薬剤の注射後は、数週間かけてリンパ嚢胞が縮小します。嚢胞内のリンパ液を吸引した後に硬化薬を注入すると、もっとも効果が得られると考えられています。
硬化療法は傷あとが残らない治療法ですが、薬剤の反応で一時的に高熱や腫れなどが生じることがあるほか、小さく嚢胞に穿刺しづらいミクロシスティックリンパ管奇形には効果が得られにくいとされています。
外科手術
リンパ液で膨らんだ嚢胞を手術で切除する治療です。嚢胞を完全に切除できれば完治でき、硬化療法が効きづらいとされるミクロシスティックリンパ管奇形にも有効だとされています。
顔や体の奥深くに発症した場合は、重要な神経や血管などを損傷しないために嚢胞の一部しか切除できないことがあります。
内科治療
mTOR(エムトール)*阻害薬のシロリムスがリンパ管奇形を縮小させる作用があると報告されたことを受け、2021年9月に難治性リンパ管奇形がシロリムスの内服療法の適応疾患として承認されました。口内炎やにきび、感染症などの副作用が生じることがありますが、重篤な症状が現れるケースはまれです。
また、漢方薬の越婢加朮湯や黄耆建中湯にもリンパ管奇形への有効性が報告されています。漢方薬は副作用のリスクが少ないことから使用される機会が増えてきていますが、現時点で研究成果の信頼性は十分ではないとされています。
*mTOR:血管や細胞を作るはたらきのあるタンパク質
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