にゅうようじとつぜんししょうこうぐん

乳幼児突然死症候群

別名:SIDS

目次

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概要

乳幼児突然死症候群(SIDS: Sudden Infant Death Syndrome)とは、主に1歳未満のお子さんに発生し突然死をもたらす症候群で、「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予想できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない」ものと定義されています。

乳幼児突然死症候群では、それまで健康であった赤ちゃんが、何の前触れもなく、突然に亡くなってしまいます。睡眠中に亡くなることが多いとされています。

日本では年間100名前後のお子さんが、乳幼児突然死症候群で亡くなっていると報告されており、2017年の統計上では乳児死亡原因の第4位となっています。2か月から6か月のお子さんに多いといわれていますが、どの月齢でも生じます。また、男児の発生数がやや多いです。

原因

乳幼児突然死症候群の原因は、明らかになっていません。しかし、3つのリスク因子が重なると、乳幼児突然死症候群が発生すると推定する研究者もいます(Triple-Risk Model)。このモデルにおいては、以下の3つの因子が重要であると考えられています。

乳児自身の脳が抱える因子

乳児自身の脳が抱える因子とは、特に睡眠中の呼吸や心拍を(つかさど)る脳の発達が未熟であることを意味します。人の体は、酸素と二酸化炭素のバランスを無意識のうちに保てるように自然に呼吸パターンを変化させることができます。しかし、一部脳に未熟性がある赤ちゃんの場合には、この呼吸パターンが行われておらず、睡眠中に酸素と二酸化炭素の調整がうまくいかなくなっている可能性があります。

月齢的な発達に関与した因子

乳幼児突然死症候群の発生が多い月齢は、発達面で劇的に変化する時期です。これには睡眠パターンや運動機能などの目に見える変化の他、心拍数や呼吸パターン、血圧などの変化も含まれます。こうした変化が、一時的でも赤ちゃんに不安定さをもたらす可能性があります。

外的な因子

乳幼児突然死症候群は、うつぶせ寝をしているお子さんやご両親が喫煙をしている場合などに発生することが多いことが知られています。こうした外的な要因のみで発生するわけではありませんが、こうした因子も乳幼児突然死症候群を引き起こす一端を担っていると想定されています。

症状

乳幼児突然死症候群の症状は、突然死以外ありません。それまで成長発達に異常もなく、突然死を引き起こすような病気を指摘されていないようなお子さんに生じます。また、睡眠時に起こることが多いのですが、赤ちゃんが寝る前も普段と比べて大きな変化を認めません。まさに、それまで健康ですくすく育っていた赤ちゃんが、突然亡くなる病気です。

検査・診断

乳幼児突然死症候群を未然に予知できる検査はありません。また、乳幼児突然死症候群の診断のためには、解剖などにより突然死を引き起こした明確な原因が存在しないことを証明する必要があります。もし解剖を行い、たとえば突然死を引き起こしうる心臓病などがみつかった場合などには、乳幼児突然死症候群とは診断されません。

治療

乳幼児突然死症候群の治療方法はなく、予防のためにとるべき以下のアプローチが推奨されています。

うつぶせ寝をさせない

乳幼児突然死症候群の発生率は、うつぶせ寝をさせていると高まることが知られています。そのため、特に両親の目が離れる状況ではできるだけうつぶせ寝を避け、固めのベッドの上に、仰向けになるように赤ちゃんを寝かせるのがよいとされています。

ただし仰向けの状態であっても、柔らかい毛布やキルトなどが顔にかかっている状態で乳幼児突然死症候群のお子さんが発見されることがあります。そのため、赤ちゃんの顔を覆うようなものを置かないことも必要です。

母乳育児の推進

母乳栄養児では、乳幼児突然死症候群の発生率が低いという調査研究が報告されています。諸説ある部分ではありますが、厚生労働省では、乳幼児突然死症候群の予防のために母乳栄養も推進しています。

家族の禁煙

両親を含む家族が喫煙をしていると、乳幼児突然死症候群の発生率が高いことが知られています。喫煙そのものは赤ちゃんの気道だけではなく、呼吸を司る脳にも悪影響が及ぶ可能性があります。そのため、両親を含めた赤ちゃんの同居人が禁煙をすることが推奨されています。