いちてきとうがいへんけいしょう

位置的頭蓋変形症

同義語
斜頭症,短頭症,長頭症,頭位性斜頭症
最終更新日:
2024年10月21日
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2024/10/21
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概要

位置的頭蓋変形症とは、胎児期、分娩時、または出産後に赤ちゃん(新生児)の頭がいつも同じ方向を向いていること(向き癖)などの外力によって起きる頭蓋骨の変形です。形によって斜頭症、短頭症、長頭症の3つに分類されます。

赤ちゃんの頭蓋骨は6種類8個の骨から構成され、それぞれの骨は緩く結合しており、骨のつなぎ目を頭蓋骨縫合とよびます。これは、赤ちゃんが産道という狭い通路を通って子宮外へと出るために、ある程度の頭の変形が必要だからです。さらに出生後は急速に脳が拡大していくため、それに応じて頭蓋骨も拡大できるように頭蓋骨は柔らかく、変形しやすくなっています。

赤ちゃんのうつ伏せ寝は、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)の発症リスクに関わるとして、1990年代ごろから国内外で赤ちゃんの仰向け寝が推奨された結果、位置的頭蓋変形症が増加したことが報告されています。

原因

赤ちゃんの頭蓋骨は柔らかく変形しやすいため、分娩時の状況や出産後の向き癖、睡眠中の頭の向きなどによって頭蓋骨の形に影響が生じます。また、母親の子宮内での姿勢や、お腹にいる赤ちゃんの頭に吸引カップを装着して分娩を助ける吸引分娩を行った影響などによっても変形することがあります。

生まれてすぐの赤ちゃんは自分で頭の向きを変えることができません。また、頭の骨は薄く、緩やかに結合しているため、同じ方向ばかり向いて寝ていると下になった頭の骨が自分の頭の重さで変形します。

症状

位置的頭蓋変形症の主な症状は頭蓋骨の変形による見た目への影響です。位置的頭蓋変形症は病気ではなく、脳機能の発達に影響が出ることは基本的にはありませんが、近年では位置的頭蓋変形症が歯の噛み合わせや中耳炎斜視自閉スペクトラム症などの二次的な合併症を引き起こす可能性もあると考えられています。

位置的頭蓋変形症は形状に応じて斜頭症・短頭症・長頭症の3つに分けられます。

斜頭症

頭蓋の左右一方が斜めにゆがみ、左右非対称になっている状態です。前頭部と後頭部のゆがみがあり、向き癖による斜頭症の多くは後頭部に生じます。後頭部のゆがみが進行すると、耳の位置や顔面が左右非対称になることもあります。

短頭症

頭の前後径が横径に比べて短く、後頭部の丸みがなくなった状態です。一般的には絶壁頭とも呼びます。主な原因は、仰向けに寝ることで後頭部に均等に圧力が加わることによるとされています。

長頭症

頭の前後径が横径に比べて長い状態のことをいいます。横幅に比べて後頭部が著しく飛び出し、頭部全体が縦方向に伸びている状態です。

検査

頭蓋骨が変形する病気には位置的頭蓋変形症のほか、通常より早い時期に頭蓋骨縫合が骨化して結合する頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)があります。頭蓋骨縫合早期癒合症は、見た目だけではなく、脳の発育に影響を及ぼすため治療が必要です。見た目では区別が困難なケースもあり、鑑別のために頭部X線検査や頭部CT検査などの画像検査が行われます。

治療

変形の程度が軽い場合は、首がすわり、頭の位置を自分で動かせる時期になると改善傾向がみられます。寝返りをする前であれば、頭の同じ場所に圧力がかからないように頭の向きを変えてあげたり、ドーナツ枕やクッションなどを用いて頭部の向きを矯正したりする場合もあります。その際、枕によって頚部が前屈し、下あごが胸部に押し付けられて気道閉塞を起こす可能性があるため呼吸状態には注意が必要です。これらのほか、以下の治療法があります。

ヘルメット矯正治療

頭蓋変形が強い場合にはヘルメット矯正治療が検討されます。ヘルメット矯正治療は一般的に首がすわり始める生後4か月ごろから開始され、治療期間は約6か月間です。ヘルメット矯正治療は、変形している頭蓋骨に締め付けるような圧力をかけるものではありません。頭蓋骨が出ているところを、それ以上突出しないようにして成長を待機させ、扁平な部分の成長を促すことを目的としています。したがってヘルメット治療での改善が見込めるのは頭蓋骨が柔らかく、一定の拡大が見込まれる時期に限られます。

タミータイム

うつ伏せ練習(遊び)、腹ばい練習(遊び)などを意味する言葉です。首すわりを促す方法として用いられています。

タミータイムは一定時間実施することで後頭部の扁平化を予防し、肩甲骨上部の筋肉や運動機能の発達を促進できるとされています。

分娩施設から自宅に戻ったら、おむつを替えた後や目が覚めた直後に、1日に1回3~5分を2~3セットくらいから行いましょう。頭を自分で動かせない時期は、うつぶせ寝で鼻と口が埋まって窒息する危険があるため、ふかふかの服や寝具の上でのうつぶせ寝を避けてお母さんの胸の上で、うつぶせで保持しましょう。赤ちゃんが喜んで行うようであれば、徐々に延長して朝晩15~30分ずつのタミータイムを目指しましょう。

赤ちゃんの頭の形が心配な場合には、かかりつけの小児科の先生にご相談いただくか、小児脳神経外科や頭蓋形成に精通した形成外科の専門医がいる医療機関への受診をお勧めします。

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