ぜんがんぶけいせいいじょう

前眼部形成異常

最終更新日:
2018年12月14日
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2018/12/14
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概要

前眼部形成異常とは、眼の前方に位置する角膜や虹彩(こうさい)などの構造物が、発生段階でうまく形成されないことにより生じる疾患です。角膜の濁りや緑内障を伴うリスクが高くなり、視力の障害が生じます。

難病に指定されており、日本での患者数は6,000人ほどであると報告されています。

視力の予後は、障害されているのが両目なのか片目なのか、眼の中でもどの部位なのかによって大きく異なります。症状に応じて公的なサポートを受けつつ、専門の医療機関で診療を受けることが大切です。

原因

前眼部形成異常は、胎児期の前眼部の発生に異常が生じることで発症します。前眼部とは黒目の部分を指し、角膜や虹彩などで構成されます。

遺伝子異常により発症することがあり、具体的には、PITX2、FOXC1、PAX6、FOXE3、CYP1B1などの遺伝子が原因となります。異常を生じる遺伝子によって、眼のどの部分に異常が生じるかは異なります。

前眼部形成異常は、常染色体劣性遺伝や常染色体優性遺伝といった形式で遺伝することがあり、遺伝形式に応じてさまざまな確率でお子さんに発症します。

ただし、遺伝性のある前眼部形成異常は全体的にはまれであり、多くの場合には遺伝性はありません。

症状

角膜が濁る、黒目の一部が歪む、といった外見上の変化がみられることがあります。また、光をまぶしく感じたり、光がうまく角膜を通過せず視力の発達が阻害されたりすることがあります。合併症として、白内障緑内障などが引き起されることもあります。

視力障害の程度は、構造上の異常が両目に生じているのか、片目だけなのか、合併症があるのか、といったことに大きく影響を受けます。また、年齢を経るにつれて進行することもあります。

眼以外の症状として、歯の発生障害や聴力障害、精神発達の遅れ、口蓋裂(こうがいれつ)、心臓の形態異常などが生じることもあります。

検査・診断

前眼部形成異常は、眼の外見上の異常から疑われます。まぶしい、見えにくい、といった自覚症状も、診断には重要です。また、下記のような検査が行われます。

  • 細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査:角膜や虹彩などを細かく評価します
  • 目の超音波検査
  • 光干渉断層計検査
  • 遺伝子検査:家族歴などから遺伝子の異常が疑われる場合に検討されます

など

心臓の合併症を伴うことがあるため、胸部単純レントゲン写真や心電図、心臓の超音波検査なども必要に応じて行われます。

治療

病状や合併症の有無などに応じて、点眼薬による治療や角膜移植、弱視訓練としてアイパッチの使用などが検討されます。

治療を行っても、十分な効果を得ることができず、視力障害が進行することもあります。病気の重症度に応じて、特別支援学校の援助や公的なサポートを受けることも考慮し、専門の医療機関で治療を受けることが大切です。また、遺伝性を有する場合もあるため、遺伝カウンセリングも考慮する必要があります。

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