治療
2026年時点では原因となる化学物質への曝露を可能な範囲で低減することが基本的な対応とされています。そのためには、患者本人が化学物質過敏症について理解することが重要です。また、化学物質を回避することによる社会的な孤立を防ぐため、家族や職場・学校など、周囲の人による理解も必要となってきます。
環境整備の方法
自宅に原因物質が存在しない環境を作り出すためには、家具や防虫剤、香り付きの合成洗剤や柔軟剤を使用した衣服などを取り除きます。重症の場合には、刺激となる物品をできるだけ減らした部屋を準備することがあります。床や壁の建材が原因と考えられる場合には、必要に応じて活性炭シートやポリエチレンシートなどで一時的に覆う方法が取られることもあります。そのうえで、症状の変化を確認しながら少しずつ物品を入れて、問題のあるものを特定していきます。
原因となる化学物質の回避例
以下のような回避例があります。なお、これらは事前に家族や同僚・上司、教師などに説明したうえで、周囲の理解を得ながら実施しましょう。
- こまめな換気や活性炭フィルター付き空気清浄機の使用
- 香り付きの合成洗剤や柔軟剤などの使用中止
- 防虫剤の使用中止
- 新築やリフォーム後は、室内に残る化学物質を減らすため、十分な換気を実施
また、必要に応じて、以下のような対策が検討されることもあります。
- 建材のコーティングや再工事
- 自宅周辺の洗濯物や除草剤、排気ガスなどの影響が考えられる場合は、目張り
上記の対策を行っても症状が改善しない場合には、転居を検討することもあります。
そのほか、職場に原因物質が存在している場合は、テレワークの活用や部署移動、転職などが可能かどうか相談・検討しましょう。
薬物療法
2026年現在、化学物質過敏症を根本から治す確立された薬物療法はありません。そのため、現れている症状を和らげる対症療法や、患者ごとの症状や状態に応じた治療が中心となります。
一部の医療機関では、症状や状態に応じてグルタチオンやタウリンなどの薬 、ビタミン剤などが使用されることがありますが、これらの有効性については十分な科学的根拠が確立していません。
また、対症療法として、アレルギーに似た症状が現れている場合には抗アレルギー薬が、頭痛や腹痛などの症状に対しては漢方薬が検討されることもあります。
ただし、化学物質過敏症に対する有効性は確立しておらず、治療内容によっては保険適用外となる場合があるため、受診先の医療機関で事前に確認することが大切です。
食事療法と運動療法
バランスのよい食事を心がけ、十分な栄養を取ることが大切です。また、適度な運動や入浴は体調管理やストレスの軽減に役立つ可能性があります。
精神心理的なサポート
化学物質過敏症の発症には、化学物質への曝露に加え、神経学的・免疫学的・心理社会的要因などが複合的に関与している可能性が指摘されています。また、いつどこで症状が現れるか分からない不安や、周囲に理解されにくいことによる孤独感、生活が制限されることなどから、二次的に精神的なストレスが生じる場合があります。このようなときは精神心理的な治療を取り入れ、ストレスへの対処能力を高めることも、日常生活を送るうえで有効となる可能性があります。
周囲の人の理解
香水や香り付きの柔軟剤などは、使用している本人にとってはよい香りでも、化学物質過敏症の方にとっては症状の原因となっている可能性があります。周囲の人の理解や配慮も大切です。
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