概要
歯に起因する化膿性炎症により形成された膿瘍が、自然治癒として自潰もしくは外科的切開によって膿汁を排出する瘻孔を形成するものを歯瘻といいます。特に口腔外(顔面)の皮膚に開口するものを外歯瘻と呼びます。
外歯瘻は、部位によって頬瘻、オトガイ瘻と呼ばれることがあります。口腔内粘膜に開口するものは内歯瘻、もしくはほとんどが歯肉に開口するため、歯肉瘻と呼ばれます。ある調査では歯瘻1,365例中外歯瘻は8例であり、まれな病気であることがわかります。
原因
むし歯に継発した根尖性歯周炎や、歯周病(辺縁性歯周炎)が原因となって、急性症状の後に膿瘍を形成し、膿瘍の自潰もしくは外科的切開によって瘻孔を形成します。多くは下顎歯の根尖病巣が原因となります。顔面皮膚付近に膿瘍ができるため、皮膚科などでおでき(毛包炎の進行したもの)と間違って切開されてできてしまうものも報告されています。
症状
歯の痛みの後に、膿瘍による腫れがみられるようになり、その後膿瘍が自潰して頬部やオトガイ部、顎下部に瘻孔ができ、腐敗臭を伴う膿汁が排出されます。多くの場合瘻孔形成後、痛みは落ち着きます。開口部の皮膚は陥凹し、排膿は入浴時や洗顔時、就寝時などにみられることが多いです。
検査・診断
まず問診で以前歯の痛みがあったか、頬部・オトガイ部・顎下部が腫れたことがあったか、皮膚切開をしたか聞きます。
次に視診で、頬部やオトガイ部・顎下部に陥凹があるかをみます。ときに排膿や腐敗臭が認められます。また口腔内診査とレントゲン検査で、原因となった根尖性歯周炎や歯周病の歯を特定します。外歯瘻を形成した歯は多少の動揺があり、歯根端部の歯肉を触ると外歯瘻開口部にわたって固い管上の構造物が触知できます。これを外歯瘻管といいます。
レントゲン検査では瘻孔からゾンデという細い棒を挿入する、もしくは瘻孔から造影剤を注入して撮影して、原因の歯を特定します。
治療
外歯瘻では、外科的に原因となっている歯の抜歯、もしくは歯根端切除術、歯根端掻把術をおこない、感染源を取り除きます。また、膿の交通路である外歯瘻管を取り除きます。顔面の陥凹を目立たなくするため顔面皮膚の形成外科手術もおこないます。
医師の方へ
「外歯瘻」を登録すると、新着の情報をお知らせします