治療
治療方針は、異形成の程度に基づいて検討されます。
CIN1
多くは自然に正常な状態へ戻るといわれているため、通常は治療を行わず、6か月ごとに経過を観察します。
CIN2
病変の状態やHPVの型、妊娠の有無などを考慮し、経過観察となる場合と、後述のCIN3に準じた治療が選択される場合があります。
経過観察となる場合
基本的には3~6か月ごとに経過を観察します。特に妊婦の場合は治療による胎児への影響を考慮して、原則として経過観察になります。
治療が選択される場合
CIN1、2と診断された場合、HPVの型を保険診療で検査することが可能です。その結果、がんになりやすいHPVの型(16,18)に感染している場合や、妊婦以外で1~2年以上経過観察しても自然に子宮頸部異形成が消えない場合、患者本人の希望がある場合、経過観察が難しい場合に治療が選択されます。
CIN3
がんへの進行リスクが相対的に高いと考えられるため、原則として治療が検討されます。
主な治療法は、子宮頸部の病変部を腟側から円錐状に切除する“円錐切除術”です。この手術は、病変を取り除くと同時に、切除した組織を詳しく調べることで、より正確な診断を確定する目的も兼ねています。電気メスやレーザー、高周波電流、超音波などを用いて手術が行われます。しかし、いずれの方法でも子宮頸部を切除するため、わずかに子宮頸部が短くなり、将来妊娠した場合にやや流早産のリスクがあります。円錐切除術による検査で、病変ががんでないと診断された場合は治療終了です。
また、病変部が全て見えており、CIN3以上の病変が確実に存在しないと考えられる場合、施設によってはレーザーの熱で異形成を消失させる“レーザー蒸散術”が行われる場合があります。レーザー蒸散術では、組織を切り取らないために病理組織の確認ができません。また、円錐切除術より再発リスクが高いとの報告もあります。
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