原因
尿道狭窄症の原因としては、主に外傷、医療行為の後遺障害(医原性)、尿道下裂の手術後などがあります。しかし、約30%は原因不明(特発性)といわれています。
外傷
外傷による尿道狭窄症には主に2つのパターンがあります。1つは股間を強打する騎乗型外傷です。具体的には、鉄棒などの遊具やガードレールに跨ったときなど固い物体に股間が強く衝突した場合、尿道が恥骨に挟まれて潰れることで狭窄が起こります。もう1つは骨盤骨折に伴うものです。交通事故や高所からの転落など、強い外力が骨盤に加わった際に発生します。骨盤のねじれにより尿道が断裂し、狭窄を引き起こします。多くは重症の骨盤骨折(不安定型骨盤骨折)に合併し、その頻度は10%程度といわれています。
医療行為の後遺障害(医原性)
尿道狭窄症は病院で行われる検査や治療などの医療行為が原因で起こることもあります。たとえば、膀胱の検査や治療のために尿道から内視鏡や尿道カテーテルを入れることがあります。決して頻度は高くありませんが、このような医療機器の挿入により尿道の内側が擦れて傷つくことがあります。尿道が傷ついた場合、体が傷を治そうとする過程で、傷ついた部分に瘢痕と呼ばれる固い組織ができ、尿道の内腔を塞ぐことで尿道狭窄を発症します。
最近増加している要因として、前立腺がんの治療に関連する尿道狭窄が挙げられます。前立腺がんに対する手術では、膀胱と尿道をつなぎ直し(吻合)ますが、数%の頻度で吻合部が狭窄することがあります。また、放射線治療も同じくらいの頻度で尿道狭窄を起こすことが知られています。
尿道下裂の手術後
尿道下裂とは、生まれつきの尿道の形態異常で、本来亀頭部の先端にあるはずの尿道の出口が陰茎の途中に開いている状態を指します。陰茎の皮(包皮)を利用して、子どものときに尿道下裂を矯正する手術を行いますが、包皮で作成した尿道はその後の二次性徴に追随して成長せずに、尿道狭窄症になることがあります。
そのほか
そのほかに硬化性苔癬、感染症なども尿道狭窄の原因になり得ます。
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